シュート数は帝京11本、京都橘の10本とほぼ同数。しかし決定機と言えば、京都橘に分があった。「決定機のうち、いくつか決まっていれば」と京都橘の米澤一成監督が言うように、あと数センチあるいはバー直撃の惜しいシュートはあったが、割ることができなかった。その理由を米澤監督は帝京の球際の強さ、ラインの統率の高さをして「鍛えられた守備」と評した。

 たしかに帝京はここぞというとき、身体を投げ打ったDF陣の踏ん張りやGK1大川藍(3年)のセーブにたいぶ助けられた。DF3ラビーニ未蘭は「(京都橘の)攻撃がものすごくて守備で耐える時間が続きました。気持ちとしては大変だった。身体を張ってゴールを守る気持ちでプレーしました」と苦慮した様子。帝京はよく耐えたといえる。

 だが残り7分での同点に追いつかれてしまう。勢いは京都橘。観客の多くは延長戦を考えていただろう。しかし、帝京は失点からわずか2分後に追加点を挙げた。このわずかな時間に帝京がこの1年培ったものが詰まっている。

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▽第103回全国高校サッカー選手権
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