そして、その感情は、試合が進むにつれて驚くべき変化を遂げていく。「途中から気持ちを切り替えて。いつまでも引きずってても何も変わらないから」。そして、とびきりの笑顔でこう付け加えた。「途中からちょっと楽しくなってきたんで」。17点も奪われた状況で、彼は確かに楽しんでいた。それは、9人という状況で最後まで戦い抜いた仲間への信頼と、ただひたすらにボールを追いかけることへの純粋な喜びだった。
「17点も決められたというより、17点しか決められてないって、なんか考え方を変えてみたんです」。彼の言葉は、ネガティブな結果をポジティブな経験へと昇華させる強靭な精神力に満ちている。この日、彼が止めたシュートの数は数えきれない。その一つひとつが、確かにチームの“失点”を防いだ証だった。
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▽第104回全国高校サッカー選手権東京予選
第104回全国高校サッカー選手権東京予選

