前半、近大附は主導権を握ることに成功する。その背景には、緻密なスカウティングと徹底した戦術があった。国見が長崎県予選でセットプレーから失点していたデータに基づき、近大附はこの試合のテーマを「セットプレー」に設定。チームが誇る3人のロングスローワーを、野球の継投策になぞらえて「先発・中継ぎ・抑え」として機能させた。前半は一番飛距離の出るMF7中澄恵大が投げまくり、中盤以降はFW10川西啓斗、そして最後は「火の玉ストレート」を持つDF5藤川澄生へと繋ぐ。理想のサッカースタイルを追い求めるだけでなく、目の前の勝負に勝つための手段を徹底した。
この「勝負に徹する姿勢」こそが、近大附の大きな進化だった。監督就任以降の3年間、寺師監督は理想の育成を追い求めてきた。昨年はMF川田太陽がFC大阪に入団するなど育成面で成果を出した一方、チームとしてはプリンスリーグから降格するという「良いゲームはするけれど勝てない」苦い現実を突きつけられた。「勝つことによってみんなが笑顔になる。それをこの大阪予選で感じた。理想は捨てないけれど、まずは目の前の勝負に絶対に勝つ。自分たちの足りないところを受け入れてやっていく」。その覚悟が、本番のピッチで見事に形となった。
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令和8年度全国高校サッカーインターハイ(総体)

