後半、足をつった選手が出て一時的に10人になった一瞬の隙を突かれ、国見に1点差に詰め寄られる苦しい時間帯もあった。しかし、チームに動揺はなかった。試合前に提示されていた「ABCのゲームプラン」が全員に共有されており、同点やビハインドの状況に応じた交代策が、そのままピッチへの明確なメッセージとなった。システムをスムーズに変更した直後、劇的な形で追加点を奪い、国見の猛追を2-1で振り切った。
この日、近大附の背中を押したのは、ピッチ脇で声を枯らした応援だった。大阪からバス5台を連ねて駆けつけた、総勢200人の部員による応援団。寺師監督が「200人で来たんだから絶対に負けられない」と語った通り、部員たちの声は、アウェイの地を完全にホームの空気へと変えた。
次戦の相手は帝京安積。相手にとって事実上のホームとも言える環境での戦いが予想されるが、寺師監督の視線はすでに前を向いている。「この200人の応援は明日も来てくれる。相手のホームかもしれないけれど、『ホームよりホーム』をテーマに、この一体感で相手を飲み込みたい」。
かつて大阪のベスト4で涙を呑み続けた指揮官が、恩師への恩返しを果たし、200人の部員とともに全国の舞台で最高のスタートを切った。激戦区・大阪のプライドを胸に、近大附の一体感あふれる挑戦はここからさらに加速していく。
(文・写真=会田健司)
令和8年度全国高校サッカーインターハイ(総体)

