指揮官も10番がシュートモーションに入った瞬間に「あっ決まるな」と思っていたという。25分、コーナーキックのこぼれ球にゴールに対して背を向けて入ったMF村田智哉は「去年の選手権前の練習試合でオーバーヘッドを決めていて、2個上の代の深代(陸)先輩が選手権でオーバーヘッドを決めたのも頭に残っていた。相手の寄せも早かったので」とオーバーヘッドを選択。右足でしっかりとミートしたボールは、綺麗な軌道を描いてゴールに突き刺さった。昨年は中盤底からパスを捌くレジスタといった印象の中で今年はもともとのボランチに加えてセンターFW、シャドーと3つのポジションでプレー。この試合では主にシャドーとしてプレーし、得点外でもサイドに的確に展開したり、守備でも前線からしっかりと走って貢献した。守屋保監督も村田に対し「いろいろなボールに対して、いろいろな姿勢でシュートを打つことができる。あの子はいろいろな面で持っているものは高いレベルにある」「前からの守備もしてくれるし、ボールの奪い合いのところでも駆け引きができる子」と賛辞を惜しまない。「彼がどこに入るかで戦術が変わる」と語る今年の西武台のアタックを握るキープレーヤーだ。中学年代は東京の強豪「Forza’02」でプレー。当時はバリバリのパサータイプだった。「パスは自分でほかの人よりは長けている部分かなと思って、中学まではゴールよりもアシストの方が嬉しかったんですけど、こうやってシャドーとかをやった時に決めるとやっぱり嬉しさがあって、いまはシャドーかなと思います」と、最近では攻撃的なポジションでゴールを決めることに喜びを見出しているという。またアンカー時代から見せてきた視野の広さも武器のひとつ。「1年の時から選手権メンバーとかに入れさせてもらっていて、今年は自分がやらないとというのがある。個では負けたくない」という攻撃センス抜群の10番が今年の西武台を引っ張る。

記事提供:埼玉サッカー通信・石黒登

▽令和元年度埼玉新人戦(新人選手権大会)
令和元年度埼玉新人戦(新人選手権大会)