試合開始当初からピッチの上空を覆った厚い雲が、いよいよ雨を降らし始めた後半、流れは依然成蹊に傾いたまま進行。成蹊は45分、右サイドを上がったDF水上光のクロスにファーサイドで後藤が合わせるビックチャンスもネットを揺らすことはできなかったが、その後もチャンスは散見。セカンドボールを確実に拾うところから、両サイドを上手く活用しボールを繋いでいく。中盤の底におけるプレー機会が多かったMF上向一平の攻守に気の利いたプレーも光った。

　すると57分、成蹊に待望の先制点。
　序盤から優位に立っていた右サイドを起点に攻め込むと、水上の右クロスに上向がダイビングヘッド。背番号10の豪快な一撃でリードを奪う。

　さらに成蹊は終盤74分、再び右サイドから追加点。敵陣でのボールカットからショートカウンターを仕掛けた水上のクロスに、ゴール前反応したのは高橋。最後はGKとの1対1を制して冷静に流し込んで見せた。

　GK鈴木武拓は終始大きな声で仲間を鼓舞し、DF岩屋賢は前線へ攻撃参加を試みる。最後まで反撃を諦めない都立片倉であったが2点のビハインドが彼らに重くのしかかる。

　対する成蹊は77分にダメ押しの3点目。1点目、2点目同様にまたもや右サイドからのチャンスメーク、途中出場となったMF松本大輝のアシストから高橋が決めて試合を決めた。

　この日奪った3点すべてが右サイドを起点としたゴール。効果的なサイド攻略に成功した成蹊が3対0の快勝。守っては今大会2試合ぶりの完封を飾る形で2回戦進出を決めている。

（文　金子侑史）