激しいボディコンタクトが随所で見受けられ、より熱を帯び始めた後半、立ち上がりペースを握ったのは都立駒場。42分、左サイドからMF秋葉遼太がクロスを送り中央に吉澤が飛び込むとこぼれたところに末永が詰めるがこのシュートはGKセーブ。それでも中盤の底を務めた末永の攻撃参加がこの日初めて見られると、攻撃に厚みが加わる。さらにゴール前でショートパスが繋がる場面も散見し、都立駒場にゴールの予感が漂い始めた。

 対して先制後なかなか追加点が奪えない都立東久留米総合も簡単には流れを譲らない。今村と朝倉の強力2トップを最前線のターゲットに、大畑や白井穂がボランチの位置から展開力を発揮。48分には白井のサイドチェンジから獲得したCKのチャンスに今村が頭で合わせるなどチャンスを作り出していく。

 両チームが繰り出す迫力ある攻撃の応酬に歓声の一段と大きくなってきた終盤、試合が再び動き出す。都立駒場は一人目の選手交代を行った直後の65分、CKのチャンスからゴール前に流れたルーズボールを秋葉が押し込んで逆転に成功。2対1とリードを奪うが、一方の都立東久留米総合も不屈の闘志で攻め込む姿勢を貫く。失点直後から前線に人数を掛けた攻撃を仕掛けると69分、CKからゴール前混戦になったところを今村が押し込んで同点ゴール。失点からわずか4分後に生まれた気迫の一撃で試合は再び振り出しへと戻されるとその後、互いに持ち味を出し合う接戦は80分間で決着は着かず。2対2のまま延長戦へと突入した。

 ここで都立東久留米総合にとって思い起こされるのは春の関東大会。準決勝で今日の相手、都立駒場と激突するも延長の末、まさかの逆転負け。悔しい敗戦から半年、あの時と似たような展開で進む中、その悪夢を払拭したのはやはりエースだった。運動量が一向に落ちない永井を起点に右サイドから主導権を握ると延長前半4分、右サイド絶好の位置でFKを獲得。大畑のクロスに合わせたのは朝倉。歓喜の勝ち越しゴールを頭で叩き込むと、その3分後にもゴール前のこぼれ球にいち早く反応し冷静に流し込んでこれがハットトリック達成となる3点目。エースがチームに貴重な追加点をもたらし、都立東久留米総合はリードを2点に広げる。

 対して2点のビハインドを背負い、崖っぷちに立たされた都立駒場。失点直後に3枚目の交代カードをきって勝負に出るも時すでに遅し。攻勢をかける分、延長後半にはカウンターから都立東久留米総合にさらに2点を献上。第89大会以来の全国を目指した都立駒場はここで涙の終戦を迎えた。

 6対2、100分間を通して粘り強く、そして勝負強く戦い抜いた都立東久留米総合が延長戦での猛攻により勝利。目標に掲げる3年ぶりの全国はあと2勝のところまで迫っている。

(文 金子侑史)