仙台ユースが小林のゴールで盛岡商に勝利し6位浮上。全国大会へ弾み
仙台ユースMF小林亮太は途中出場で鋭いドリブル突破を見せ1ゴール(写真=小林健志)
高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ東北は7月17日、延期となっていた第6節2試合が行われた。マイナビベガルタ仙台泉パークタウンサッカー場ではベガルタ仙台ユースと盛岡商の対戦が行われた。仙台ユースは8試合を終えて1勝4分け3敗の勝点7で8位、盛岡商は3勝5敗の勝点9で6位という状況でこの試合を迎えた。
前半は互いに守備陣が奮闘した。盛岡商は左サイドハーフMF佐藤航(3年)が何度か鋭いドリブル突破からクロスで決定機を作ろうとしたが、仙台ユース守備陣DF太田翔瑛(3年)、DF大森悠(3年)がしっかりとはね返した。一方、仙台ユースは試合が進むにつれてボールを保持するが、盛岡商は主将のDF宮野隼(3年)を中心とし、ボランチのMF佐々木央汰(2年)やDF佐藤慎一郎(3年)が粘り強い対応を見せ、シュートまで持ち込ませない。前半は仙台ユースが2本、盛岡商が0本とシュート自体が少なく、スコアレスで終えた。
盛岡商MF佐々木央汰は中盤の守備で奮闘した(写真=小林健志)
後半は互いに攻撃を活性化させようと、ハーフタイム後に選手交代と配置変更を行った。仙台ユースは前半接触プレーのあった右サイドバックDF山田泰樹(2年)に代わり、巧みなドリブルが持ち味のMF西尾悠翔(2年)を投入し左サイドハーフに配置。左サイドハーフのMF熊谷柊治(3年)をボランチに、ボランチのMF須田菖太(3年)を右サイドバックに移した。一方の盛岡商は右サイドハーフMF月折隼斗(2年)に代えてここまでチームトップの3ゴールを挙げているFW原田優汰(1年)を投入。2トップの一角FW蒲田陽向(2年)を右サイドハーフに移した。
互いに選手交代と配置変更をした中、その効果が表れたのは仙台ユースだった。西尾や逆サイドの右サイドハーフMF工藤紫苑(3年)がドリブル突破から決定機をつくり出し、徐々に攻撃の圧を高めていく。それでも盛岡商は粘り強い対応を続けてきたが、64分ついにゲームが動く。仙台ユースは後半途中からFWの一角に入った工藤が相手DFラインの背後にスルーパスを出す。これに反応したのが、チームトップの3ゴールを挙げているFW小野獅道(3年)。小野のシュートはGKにブロックされるが、こぼれ球を拾ったのは後半途中右サイドハーフとして投入されたMF小林亮太(2年)。「(小野)獅道が攻めている時は何かが起こるといつも思っているので、しっかり詰めればこぼれてくるかもしれないと思ってプレーしていました」と狙い通りにこぼれ球を小林がゴールに押し込み、仙台ユースが先制した。
その後は盛岡商は終盤多くの決定機をつくったが、仙台ユースは後半途中投入した長身FW中田有祐(2年)にクリアボールをおさめさせ、アディショナルタイムにDF千場尊(2年)を入れて守備固めを行い、このまま逃げ切って試合終了。1-0で仙台ユースが勝利し、盛岡商と順位が逆転し6位(7月18日現在)に浮上。盛岡商は8位に後退した。
開幕から6試合勝利が無かった仙台ユースはここへ来て3試合負け無しで、チーム状態が上向きつつある。木谷公亮監督は「自分たちのインテンシティで負けている部分が多かったので、連戦の中でそれを知りながら戦えて、ここ2~3試合で少しずつ変わってきたと思います」と語る通り、5月上旬まで試合ができず、6~7月過密日程となった中で、球際勝負の部分で強度が出てきた。主将のMF淀川誠珠(3年)も「走力・球際・切り替えの部分で相手に勝てないと試合に勝てない、そこで勝てば得点もできて試合も勝てるというのは、(初勝利を挙げた)仙台育英戦で再確認でき、少しずつ自信になっています」と手応えを語る。しかし淀川は「それにプラスして、相手を見て良い判断をして攻撃も守備ももっと頭を使って、もう1つ上のレベルにいかないといけません」と課題も口にした。強度とクオリティを両立させるという課題克服に取り組みつつ、7月25日からはクラブユースチームの全国大会日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会に臨む。グループステージではアルビレックス新潟U-18、カマタマーレ讃岐U-18、浦和レッズユースと対戦する。
盛岡商だが、5月の県高校総体では専大北上に2-4で敗れ、インターハイ出場を逃した。中田洋介監督は「県総体は守備でボールに行けず、全体が下がってしまいました。今は選手を入れ替え、守備でもボールホルダーに厳しく行けるようになっています」と語り、1失点はしたものの粘り強い守備対応ができたことは収穫に挙げた。主将の宮野も「今日に関しては球際に行けてシュートを打たせないことはできていました」と語るが、「失点の場面は自分が絡んでしまって、最後まで厳しく行けたら良かったです。0で抑えることにもっとこだわりたいですね」と失点部分を反省した。「点を取られないところと決めきるところを高めれば勝てると思います」と、今後のリーグ戦での巻き返し、そして選手権に向けて、さらに質を上げていこうと意気込んでいた。
(文・写真=小林健志)
▽高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2021 東北
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