一方、今大会3試合目にして初の失点に開成の雲行きは怪しくなる。
 それでも初戦の都立江戸川戦、2回戦の都立城東戦と2戦続けてクリーンシートを達成した守備陣を中心に、チームは立て直しを図り反撃の糸口を探った。26分にはCKのチャンスからニアサイド走り込んだFW高木人史がヘディングシュートを放ち、28分には左サイドから中央へとボールを運びMF山本駿平がフィニッシュ。しかし、前者はDFのブロックに阻まれ、後者は都立墨田川GK数藤史の手中に収まり同点に追い着くことはできず。1対0、都立墨田川がリードしてハーフタイムへと突入した。

 後半に入ると主導権争いは1点ビハインドの開成に軍配。
 高木ら攻撃の中心を担うキープレーヤーが前半よりも比較的高い位置でボールを受けることでチャンス創出。完全に受け身に回った都立墨田川を尻目に、開成が繰り出す攻撃の強度は確実に増した。すると迎えた54分に待望の同点弾。左SB前田裕大の突破から最後はFW村田幸亮が角度のないところから蹴り込んでネットを揺らす。

 俄然勢いの増す開成、次なる歓喜は同点ゴールからわずか5分後に訪れる。
 59分、ショートコナーを選択し変化をつけるとファーサイドへと走り込んだのは高木。フリーで放った渾身の一撃は見事な逆転ゴールとなった。

 その後、最後の力を振り絞る都立墨田川の反撃をかわした開成が2対1で勝利。終盤に見せた怒涛の逆転劇で第1地区4強へと名乗りを挙げている。

(文・写真 金子 侑史)