豊岡 vs 盈進東野

 後半は差し込まれるシーンが増えた豊岡だが、「選手にも「表の時間と裏の時間がサッカーは絶対あるよ」というのは常に言っていて、いろいろな学校さんとやらせてもらってやっぱりうちは裏の時間がすごく長いチームなので、そういったいろいろなゲームの耐える時間というのがここに繋がったと思っています」。指揮官の言う「裏の時間」。ここでチームは真骨頂を発揮する。

 それぞれが球際で戦いながら、東野戦に向けて密集のトレーニングをしてきたというチームはDF佐野瑛大(3年)、DF市川凛太朗(3年)、DF宮﨑敦也(2年)の後ろ3枚を中心に跳ね返し、冷静にボールを掻き出し続け、相手に攻め込まれながらもシュートまでは打たせなかった。

 すると後ろの頑張りに前が応える。後半23分、田中悠が落としたボールを最後は冨澤が左足で流し込んで決めた。4月下旬に怪我から戻って来たばかりの10番は復帰後これが初ゴール。「なかなか試合でも点が取れていなくて、公式戦でしっかり取りたいなと思って、ずっと狙っていたので嬉しかったです」。苦しい時間帯を凌ぎ、エースの一発で豊岡が勝利を一気に手繰り寄せる。

 終盤の猛攻に対しても全員が集中して守備。後半ATの関節FKのピンチも身体を張って守り切った。後半はこの1本に抑えたほか、全体を通じても3本の被弾に抑えるなど、堅守が光った。

 冒頭の通り、「球際」の部分は豊岡の伝統だ。特にいまの大学1年生や今年の高3は体格がしっかりしている選手が多いといい、そこでイニシアチブを得るべく「相手チームよりも一歩先を取る」(監督)ことを意識。1対1や3対3ですぐに寄せたりして日々の練習からこだわっている。

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▽令和4年度全国高校サッカーインターハイ(総体)埼玉予選
令和4年度全国高校サッカーインターハイ(総体)埼玉予選