徳島市立は2年ぶりの選手権出場を決めた(写真=柏原敏)

 先制点のビルドアップも独特な立ち位置からスタートしている。ボランチのMF山座拓達がやや高い位置でポジションを取っていたが、GKとCBでボールを動かしている間にスルスルッと最終ラインに関わってボールを受けた。連動するようにポジションを上げた左SBのDF河合侑馬にパスが入り、中央気味に立っていた左サイドハーフのMF河村壮真も連動して左サイドの奥行を取る。

 その先の展開は、前述通り前線に顔を出す頻度が増加していた吉田とFW鈴木悠哉の関係性でクロス攻撃に持ち込む。一度は徳島商のDF陣にクリアされたものの、こぼれ球を林が柔らかなタッチで逆サイドへ展開。右SBから中盤のスペースを補完しながら効果的なタイミングで攻撃参加できたDF野々村泰成が右足をコンパクトに振ってサイドネットを揺らした。

 先制点を許し、前がかりにならざるを得ないメンタル状態を強いられた徳島商。

 その隙を突いた格好で、徳島市立がリードを広げることに成功。自陣の左サイド深くからのスローインがきっかけとなり、林が少しドリブルで持ち出し、再び前線に顔を出していた吉田がスペースへ抜け出せるタイミングでパスを供給。縦に早い攻撃がスタートし、吉田がドリブルで左サイドに流れるのを判断した河村が思い切ってペナルティエリア内にスプリント。結果的に両サイドハーフが交差するような構図になり、最後は吉田の丁寧なクロスを河村が流し込んで追加点を挙げた。

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▽第101回全国高校サッカー選手権徳島予選
第101回全国高校サッカー選手権徳島予選