山本昌輝監督は2年前と同じ轍を踏まぬように準備したそうだ。3回戦で昌平と対戦した際、引いて守る作戦で臨んだら0-9という屈辱的な惨敗を喫したのだ。「夏ごろには選手権予選は、どんな相手にも引かずに戦おうと決めていた。今日もアグレッシブに敵ボールを奪いにいき、シュートコースに早く入る守備ができていました」と、してやったりの表情を浮かべた。
前半25分には、ショートカウンターから加点。ペイトンがスピード豊かに右を突破し、ボランチ遠藤浬(3年)から預かったパスを逆サイドに沈めた。「あのゴールは練習でもやっている形。1試合2得点は今年初めてだし、日本一のチームから取れてうれしい」と大喜びした。
後半7分に失点したが、24分の遠藤の4点目がものをいった。相手のクリアボールを拾ったボランチは、右足でスーパーな中距離弾を決めて決勝点を奪った。
7分あったアディショナルタイムの5分に失点し、1点差に詰め寄られたが逃げ切りに成功。昨季から守備ラインを統率する菅野は、「どんな相手にも積極的な守備を心掛けてきました。昌平は個の能力が高く、人数を掛けて攻めてきたが全員の力で跳ね返せました」と胸を張った。
昌平との選手権予選での対戦成績を1勝2敗にした山本監督は、「うちが勝つとは誰も思っていなかったはずだが、勝ちにきたんだという気持ちを前面に押し出してくれた。とんでもなく大きなヤマを越したが、昌平に勝つことだけが目標ではない」と大きな大きな1勝に満足せず、準決勝を突破して初の決勝進出と初優勝を見据えていた。
(文・写真=河野正)
▽第103回全国高校サッカー選手権埼玉予選
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