前後半では決着がつかず、勝負の行方はPK戦へもつれ込んだ。先攻の東山は1人目と2人目が連続して止められる苦しい展開。いずれも京都共栄のGK山本がコースを読んで防いだ。一方の東山GK麻生太朗先(1年)も2人目キッカーを止めて見せた。その後は両チームともPKを成功させ、後攻の京都共栄の5人目を迎える。決めれば勝利、東山は止めなければ敗退が決まるという場面だ。キッカーは中央へ蹴り、GK麻生は左方向へ飛んでいたが、残った足でボールに触ってPKを止めて見せた。九死に一生を得た東山は7人目のキッカーを成功させると、GK麻生が京都共栄の7人目を止めて試合終了。PK戦を5-4で制した東山が、~辛くも決勝進出を決めた。

 東山はPK戦で土壇場まで追い込まれたが、なんとか踏みとどまって決勝進出をつかんだ。立役者となったのはGK麻生。3本のPKを止めて、チームを救った。今大会は3度目のPK戦となったが、いずれも好守を見せている。試合後、福重良一監督も「(強い)メンタリティーを持っているし、伸びしろもある。彼に関しては今大会で成長している」と評価する。

 試合については「全体的にボールへの反応が遅かった。はっきりした戦い方をする相手に対して、反応が遅かったですね」と振り返った。何度もゴールに迫った後半は「自分たちの力を出せたが、クォリティーが低かった。チャンスを外した後、じれずにやれればいいんだけれど、どうしても自分たちで苦しめてしまう」と指摘する。それでも結果をつかんでファイナルまで勝ち上がる勝負強さは、チームや個人が積み上げてきたものの表れだ。指揮官も「苦しみながらではあるが、そういうところで精神的に強くなっているかもしれない」と話している。涙を呑んだ昨年度とは違う結末を迎えるべく、決勝戦へ挑む。

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