京都橘も何度かゴールに迫る。延長後半4分には左サイドを攻め上がった久保がシュート性のクロスを送り込むが、味方にあわない。両チームともリスクを抑えながら、いかに攻撃でフィニッシュまで持ち込むかという手堅い試合展開の中でゴールが生まれず、勝負の行方はPK戦へ持ち込まれた。

 PK戦は先行の京都橘の1人目が成功したのに対し、後攻の東山は強振したキックがクロスバーを叩いた。2人目も京都橘が成功させたのに対し、東山のキックはGK平にセーブされてしまう。3人目は両チームとも成功さえて、迎えた4人目。京都橘はMF執行隼真(3年)が成功させ、PK戦は4-1で京都橘が制して全国大会への切符をつかんだ。

 優勝した京都橘は守備に回る時間が長かったが、GK平を中心になんとか無失点で試合を進めて、PK戦で勝利を呼び込んだ。主将DF宮地陸翔(3年)は「しんどい時間が多かったけれど、自分たちを信じ続けたことが結果につながりました。PK戦は気持ちで蹴り込んで、気持ちで止める。練習から本番の緊張感を想定して、PKの練習をしてきました。そこができたので勝つことがでいました」と話している。また「平もめちゃくちゃ止めてくれて、救われました」と2年生GKに賛辞を送った。

 米澤一成監督も「いつ(先制点を)取られてもおかしくなかったが、よく耐えてくれた。GK平やDFラインが本当にがんばってくれた」と守備の健闘を褒め称えている。今年は新人戦とインターハイ予選で優勝を逃し、プリンスリーグ関西1部でも苦戦を強いられるなど苦難のシーズンとなっているが、その中でつかみとった京都大会の優勝となった。

 一方、敗れた東山は多くの決定機を作りながらも決めきることができず、PK戦で涙を呑んだ。福重良一監督は「チャンスは多く作ったが、その数を競うスポーツではない。1年間、決定力という課題を克服できなかった」と話した。

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▽第103回全国高校サッカー選手権京都予選
第103回全国高校サッカー選手権京都予選