「先輩たちが作った連覇の歴史をつなぐことができて良かった」と決勝点の山下は安堵の表情を見せたが、「試合前のミーティングで共有していた背後を取る形からチャンスは作れたけど、押し込まれる展開も多くて、終盤まで球際で負けることも多かった」と振り返る。とはいえ、「朝練や放課後の自主練では、決め切ることを意識して、いろんなシチュエーションのシュート練習に取り組んできた」と話す通り、エースとしての自覚が夏からの成長につながっている。インターハイでは9得点を挙げて得点王に輝いたが、チームとしてはあとわずかで届かなかった頂点を極めることが、言うまでもなく選手権での目標だ。山城監督も、「夏に悔しい思いをしたのは自分たちだけではない。プレッシャーの強い相手に対してもボールを動かせるようにしてきたが十分に出せなかったので、(選手権前の)プレミアWESTのゲームでも突き詰めて、全国大会では1回戦からしっかり戦いたい」と、チーム力をさらに高めて挑む。

 結果的には前半の1失点に泣き、6年ぶりの出場を逃す格好となったルーテル学院だが、「思うようにいかない部分もあったが、ある程度のことはできた」と、藤巻監督も小さくない手応えを得た様子。夏の県高校総体に続いて2大会続けてファイナルまで勝ち上がってきたことを自信に、今年のチーム以上の成績を目指す挑戦が引き継がれる。

(文・写真=井芹貴志)

▽第104回全国高校サッカー選手権熊本予選
第104回全国高校サッカー選手権熊本予選