それでも尚志のペースで試合が進み、15分には若林がPA左外で倒されFKを獲得。寺田がゴール前に上げたボールをDF4中村一平(3年)が合わせにいったが、わずかに合わない。27分には連携から攻め上がったDF12野上怜玖(3年)がゴールを狙ったが、シュートは枠を捉えることができなかった。
このまま同点でPK戦を迎えるかと思われたが、70+2分に試合は三度、動いた。矢板中央が右サイドの高い位置でスローインの機会を得ると山本がゴール前に入れたボールが尚志DFのハンドを誘い、PKを獲得した。工藤のキックはGK1加藤峻平(3年)が読み通り防いだが、ゴールラインより前に出ていたため蹴り直しに。
ベンチからはキッカー交代の指示が出ていたが、「矢板中央は気持ちを大事にしていて、一回外したぐらいでメンタルが落ち込むことはない選手たち。仲間を信じていた」(石井)と選手たちが工藤の蹴り直しを主張したという。仲間の信頼を背負った工藤が2度目のPKを成功させると、2-1で試合終了を迎えた。
劇的な勝利に湧いた矢板中央の選手たちだったが、すぐさま気持ちを切り替え視線は3回戦に向いていた。「尚志に勝って注目が集まると思いますが、僕たちが目指しているのは尚志に勝つことではない。日本一を目指して福島に乗り込んできた。日本一を目指して一戦必勝でやっていきたい」と話すのは石井で、初の頂点を目指し、矢板中央らしくトーナメントを駆け上がっていく。
(文・写真=森田将義)
令和8年度全国高校サッカーインターハイ(総体)

