市立船橋DF畑大雅(写真=森田将義)

■Dブロック
 Dブロックは市立船橋(千葉)が勝ち上がりの最右翼だ。県決勝で昨年度のファイナリストである流通経済大付属柏との打ち合いを制した攻撃力は本物。個人で見ても、DF植松建斗やMF鈴木唯人(清水内定)など各所に世代別代表の経験者が並ぶ。ただし、初戦で当たる日章学園(宮崎)もMF中別府柊太、FW鈴木陽介を擁する実力校で、簡単には勝たせてくれない。DF畑大雅(湘南内定)とDF阿部稜汰による高校屈指のSB対決も試合の見どころになりそうだ。

 彼らに続く京都橘(京都)も2012年の準優勝以降は、成績が下降線を辿るが、今年は過去最高成績を狙える好チームに仕上がっている。MF佐藤陽太と志知大輝を中心としたボール回しからMF髙木大輝らが繰り出すサイド攻撃の鋭さは、4強入りを果たしたインターハイでも証明済み。”強い京都橘”に付き物であるFW小屋松知哉(京都)や岩崎悠人(札幌)ら点取り屋の存在も、FW梅村脩斗と梅津倖風によるペアが成長し、快勝しつつある。MF永田貫太、鈴木綺騎が個性的なアタッカー陣が目を惹く鵬学園(石川)との初戦を突破すれば、大会の先行はが明るくなるだろう。

 他にもDブロックは拘りを感じさせる注目校が多く揃う。主将のDF長江皓亮を筆頭に大型選手が揃う矢板中央(栃木)の守備力は全国でも上位。空中戦の強さを押し出した戦いはトーナメント向きだ。彼らと1回戦でぶつかる大分(大分)は、真反対の足元重視のポゼッションサッカーが売りで、MF重見柾斗とFW菊地孔明のセンスは光る物がある。矢板中央が繰り出すパワフルな仕掛けを防ぎ、自らの戦いに持ち込めるかがポイントになるだろう。帝京大可児(岐阜)と大手前高松(香川)のカードは互いにパスワークが売りのチームで拮抗した展開が予想される。鍵になるのは飛び道具を活かせるか。前者にはDF神戸政宗、後者にはMF滝平昂也という強肩がいるため、勝敗を分けるのは地上戦ではなく、空中戦となるかもしれない。

 ダークホースとなり得るのが、松本国際(長野)。FW木間皓太郎と小林丈太郎のダブルエースを活かした戦いが持ち味で、今年はDF滝澤大輔や小山成格ら大型選手の力強さを備えているのが強みだ。1回戦で当たる和歌山工(和歌山)も、司令塔のMF岩橋陽世を中心としたコレクティブな組み立ては一見の価値あり。多くの選手が卒業を機に就職するため、サッカーに打ち込めるのもあとわずか。最後の晴れ舞台に挑む彼らの勇士にも注目して欲しい。

 伝統校の四日市中央工(三重)に挑む格好の初出場の日大明誠(山梨)は粘り強さがチームの信条。選手権がプロ入りをかけた就活の場となる天才ドリブラー・MF森夢真やFW田口裕也(鳥取内定)による迫力十分の攻撃を封じ、全国大会初勝利を狙いに行く。

(文・写真=森田将義)

▽第98回全国高校サッカー選手権福島予選
第98回全国高校サッカー選手権福島予選