MF吉永陸人(比叡山/3年)写真=森田将義
MF吉永陸人(比叡山/3年)
派手さはないが、彼がいるのといないのとでは試合展開が大きく変わる。比叡山の林孝紀監督が「3手先が読める選手」と一目置くボランチだ。武器は正確なキックと高い戦術眼。的確な位置取りでボールを引き出すと、左右前後へ中長距離の正確なパスを送り、攻撃のリズムを生み出す。守備でも落下点に的確に顔を出し、ピンチの芽を確実に潰していく。一つ一つのプレーが正確であるため、常に落ち着いてプレーできるのも魅力で、「高校生の中に大人が混じってプレーしているみたい」と口にするサッカー関係者もいるほどだ。
今年は新型コロナの影響で、満足にプレーできない時期が続いたが、「自分を見つめ直す時間がとれたので、自分にとってはプラスだった」。課題だったフィジカル面を克服するため、筋トレに励み体重が3キロもアップ。腕力も強くなり、ボールキープの力強さが増した。また、サッカーの試合を徹底的にチェックし、アンドレス・イニエスタ(ヴィッセル神戸)ら一流ボランチの細かな動きを身につけようと努力したという。
これまではプロは遠い存在だと思っていたが、国体以降はJのスカウトにも知られる存在になり、10月には練習参加も経験した。パスとトラップの質の違いに驚きを見せながらも、日にちを追うごとに慣れていき、持ち味を発揮できたという。一方でプレーの強度など課題もあるため、高卒でのプロ入りは不透明だが、センスの高さは確か。いずれJの舞台に上がってくる選手であるのは間違いない。