■新しいアプローチでココロに挑む!今、注目のトレーニング!
メンタルビジョントレーニング講義に潜入!
視覚機能の向上がメンタルも強くする。しかもそれが意外と簡単にできる、とあって、今注目を集めています。
そんな中、「ココロは脳にある」として、今までのメンタルトレーニングと全く違うアプローチをして実績を残しているというトレーニングがあるとの情報が入ってきました。その名も「メンタルビジョントレーニング」。
早速潜入した講義で話されていた内容は、視覚機能や睡眠や食事、思い込みをなくす方法についてのもの。「メンタル」には直接関わらないようなイメージですが果たして…?
百聞は一見にしかず、という事で、メンタルビジョントレーニングについて、臨床心理士の松島雅美先生にお話を伺いました。
◇気持ちを気持ちで変えるのは難しい
メンタルビジョントレーニングとはその名の通り、簡単にいうとメンタルトレーニングと視覚機能トレーニングを合わせたものです。視覚機能は上達具合や自分の状態が数値でわかります。サッカーは見る力が重要なスポーツ。プレーの質にもダイレクトに関わってくるので、鍛えがいがあります。
メンタルトレーニングも、わかりにくい印象があるかもしれませんが、トレーニングのもととなる心理学は人を科学したものなので、実は数値化できる。それに、自分の状態を正しく把握できるようになったりと変化が実感しやすい。このトレーニングでは、視覚機能もメンタルもどちらも変化が目に見えるので、わかりやすいんです。
ここでいうメンタルトレーニングは、いわゆる気持ちに働きかけるのではなく、脳を鍛えるトレーニング。昔ながらのメンタルトレーニングって「気合を入れる!」とか「緊張しちゃいけない!」「緊張しないようにする!」という、心の機能に合ってない方法論が中心でした。特に日本は我慢の文化です。弱音を吐いてはいけない。メンタルが弱い=恥ずかしいというイメージがあったりして、メンタルというものに対しての誤解があるんです。でも、それも無理のないことです。「気持ち」という意味でのメンタルは目に見えませんし、効果が良くわかりませんからね。
だから、トレーニングには、目に見える効果、確実に成果が見えるプログラムが必要なんです。脳の機能を理解して、安定したパフォーマンスが出来るために必要なトレーニングをしていきます。
◇視覚機能をトレーニングする意味
サッカーは広いピッチで長時間、プレイヤーとボールが動き回るスポーツです。自分自身も動きながら、複数の相手、複数の味方、そしてボールの動きを目で見て判断する必要があります。世界のトッププレイヤーを見ていると「なんでそこにパスが出せるの?」「なんでそこに走り込んでいるの?」と驚くことが多いと思います。それは、見る力、視覚機能が優れているから出来る技だということが多いんです。
視覚機能というのは、いわゆる視力と呼ばれる部分以外の目の能力で、主に3つのステップを踏みます。
・情報を意識して捉える
・その情報を脳の中で判断する
・その通りに反応し、体を動かしていく
これらはいずれも目を通した情報を処理する脳の機能です。意識せず普通の生活をして鍛えられるものではないけれど、だからこそ意識すればガラッと変わることが出来る。初めてのトレーニングの時に効果が体感できるんです。もちろん、続けなければ定着はしません。
それに、鍛えることで、もちろん運動のパフォーマンスが上がります。情報をより多くつかみ取り、的確に判断して人より早く反応することに繋がりますから。
どんなに体を鍛えるトレーニングをしても、最後に判断、コントロールするのは脳です。
例えば、頑張って足が速くなった所で、何の判断なしに闇雲に走っても仕方ないですよね。苦労してパワーを付けたところで、パワーの出しどころを間違えば、意味が無いですよね。また、ケガをしても治りが早い人っていますよね。それは、脳がそう指示を出しているからなんです。遅い人は、脳がケガを治せと体に指示できていない。コントロールできていない状態なんです。
眼球運動のトレーニングの様子
また、眼球運動をすることで感情をコントロールする前頭葉を活性化できます。そのことで、緊張や不安をコントロールする機能を高めようという事も狙いです。
純粋に視覚機能を鍛えパフォーマンスを高める部分と、メンタルトレーニングとリンクさせる部分。両方がわかりやすく効果が出るのが視覚トレーニングです。
それと、講義の中で、睡眠や食事についてお話をしました。これは、脳の機能を高める、強い脳を作るために欠かせない部分です。メンタルの強さは結局「脳を機能させられているか」「脳の状態をコントロールできているか」によります。睡眠は、脳を休めるため。食事は、脳に栄養を与えるために必要不可欠です。それぞれ意味のある、質の高いものを意識しましょう。
◇今までとはアプローチが違うメンタルトレーニング
ここまで、脳の重要性と視覚機能トレーニングのお話をしてきました。では、このメンタルビジョントレーニングでのメンタルトレーニングはどのようなものなのでしょうか。実はこれは、チームや個人の性格によって変わってきます。ここが今までのメンタルトレーニングとは違うアプローチなんです。チームビルディングもサポートできるんです。
今までのメンタルトレーニングはまず目指すところありきだったんです。例えば「強く見せたい」と思ったら、「一般的なイメージの強さ」に自分を作り変えていくやり方が主流だった。だからどうしても無理があるし、チームに合う合わないが出てきます。
強く見られたい=相手を怖がらせたい、と考えれば、方法は色々あります。相手を怖がらせるかはその人、チームが持っているタイプで違います。「どうしてこんなことが出来るの!?」「どんな練習をしているの?」とびっくりさせることだって、相手を怖がらせられる。「何だこりゃ!?」って思わせられればいいんです。意表を突かれると人間は不安になりますから。
見た目が柔らかく見えるチームや人って、それを上手く使えば相手をかき乱せる。「ガツガツしてないのに!」って。コンプレックスを持っている人も同じです。「背がちっちゃいのに、細いのにどうして!?」そうしたらコンプレックスじゃなくなる。
◇コンプレックスはそのままでいい。未来志向のトレーニング
人って、コンプレックスを克服しようと思いがちだし、原因を探ろうとしますよね。どうしてダメだったの?ダメなのはどうして?って。その上で、消化しようとする。でも、トラウマだとか、そんな大げさでなくても嫌な思い出や思い込み、ジンクスだとかはあるに決まっているんです。
メンタルビジョントレーニングのアプローチの仕方なら、そんなものを気にしないでいられるんです。過去は消せないですからしょうがないですよね。じゃあこれからどうなりたいか、そのためにはどうしようかという事を考える。そして、これからのマイナスの思い込みを作らないために、コンプレックスに邪魔されることを減らすようなトレーニングもプログラムに入っている、未来志向のトレーニングなんです。
◇チームビルディングのサポートツールとして
チームの、そして個人の現状を把握して将来を描き、チームを作っていく。その為に、選手をそれぞれ役割分担をします。役割によって必要とされる性格も違うし、人は与えられた役割に求められるように変わっていける。どういう役割を与えるかで、その選手は強くも弱くも劇的に変化します。
だからこそ、指導者にはサッカー等の団体競技であれば、適正あるポジションを見抜く力と共に、チーム内での立ち位置、役割を見抜く力が必要になってくると思います。何となく似合ってそう、という理由で役割を決めてしまうのはもったいない。
その個人を理解して認めて、どういう役割を担えばいいのか。その人が一番のびのびと力を発揮できて成長できるか。そこを見極めるのが監督や指導者であり、サポートするのが、個人の脳の機能状態や得意不得意といった性格傾向まで見立てられるプログラムも入ったこのメンタルビジョントレーニングなんです。
臨床心理士・松島雅美先生
トレーニングと言っても、体を鍛えるものとは違って大袈裟な器具等は必要ありません。自分の体があればいつでもどこでも出来るものです。時間だってちょっとしたものでいい。しかも本気でやろうとしたら1日でも変化した実感が持てます。でも、次の日から何もしなければ1週間も持たないで元に戻ります。継続して定着させることが大切です。試合でしっかり力を発揮させるためには、練習や日常の中で「今プレッシャーかかっているけどコントロールできているな」と感じられることが大切。それだけでだいぶ違ってくるはずです。
きちんと取り組めば、脳は必ず応えてくれます。パフォーマンスも上げられるはずです。「できない」を「できる」にする方法はまだまだあります。是非、体験してみてください。