帝京・日比威監督

 ユニフォームの胸には輝く9つの星。選手権6度、インターハイ3度の全国制覇を誇る、高校サッカー界の名門・帝京。久しぶり全国大会出場を決めつつ、チームはリーグ戦の真っ只中でもある。第5節では矢板中央に痛い敗戦を喫し臨んだ第6節の桐生第一戦。重要な戦いの試合後、チームを率いる日比威監督に話を聞いた。

ーー逆転勝利でしたが、まず試合を振り返っていただけますでしょうか?

 ただ前半はちょっとあまりにもウチの入りが悪かったですね。特にマークの受け渡すところ、受け渡しちゃいけないところ、そこがチグハグで結局自分たちで自滅した形になってしまい、1失点目はスペースをうまく使われてしまいました。

 左サイドバックの小林選手が上がって、FWの寶船戦手がスペースを空けたところに入ってくるという桐生第一さんのストロングポイントを、わかっていても止められなかったというところは桐生第一さんの破壊力、クオリティの高さだと思いますね。

 前半はそこで苦しんだ部分があったのですが、点を取られた後で選手たちが集まって話をしてどうにか修正して、前半のうちに追いついたことが良かったところですね。

ーー桐生第一さんの攻撃のところでギャップを突くところやクロスのところで入ってくくるところとか、捕まえ切れなかった部分があったようですが?

 そうですね。前半は全く捕まえられず受け身でしたね。ただ後半は選手たちもゾーンディフェンスのところと、マンツーマンになるところと、1人、2人と見ながら、危ない方を消していく、そこでズレたのなら受け渡し、コーチング、コミュニケーションを取りながらしっかりと修正して入っていったと思います。

 危ない場面といえばロングスローとセットプレーのところでした。セットプレーは1本、DF並木がフリーにしてしまってポストに救われたプレーがありましたけれども、ああいうところを減らしていくないとウチは失点が減らないですよね。前節の矢板中央戦もロングスローから2失点してしまっているので研究されて、今日の試合でもロングスローから狙われたところもありましたので、そこの部分は、やはり修正していかなければいけないなと痛感しました。

ーー局面での部分、球際などは強さが出ていたと思いますが?

 今のチームは2年生が主体で、今日も8人くらいスタメンで出ていたのですが、怖いもの知らずな部分があって。ただ球際の強度や体を張らなければいけない部分などは、卒業した生徒や3年生から「プレーが軽い!」と教え込まれていました。そんなこともあって、2年生たちの今があるのかなと思います。

 開幕から第6節まで、コテンパンにやられた試合はなかったですけれども、ケガ人が多くて去年試合に出ていた選手たちもいなく、なかなかベストメンバーが組めない中、選手権までにコンディションを上に持っていきながらやっていけば、秋口にはもうひと回り体も出来上がってレベルアップしているのではないかなと思っています。

帝京 vs 桐生第一

ーー2点目を決めたDF入江選手などは「あの位置にいる」ことや「左足のキック」など随所に凄さを感じましたが?

 あそこの得点のシーンはMF福地が切り返してシュートを打った、そのこぼれ球にFW伊藤が行った、そのこぼれ球に入江が行ったことを考えると、確かにあのポジションまで走力を使ってオーバーラップしていた部分では、彼の思い切りの良さが出ていたシーンだったと思います。

 入江も第4節から復帰した選手で、彼が戻ってきてくれて助かっている部分もありますが、第4節、第5節の試合では判断が悪いところもあってイエローカードなど余計なものをもらったりしているので、早く本来の調子に戻って欲しいとも思っています。

ーーもっと上下動のところとかをやってくれたらという思いなどもありますでしょうか?

 入江に関して言えば上下運動はあると思うんですね。ただトップ下の選手との関係、ボランチとの関係などを含め、もう少し彼の良さを引き出すようなことを周りの選手がしてあげられないとダメだと思いますね。入江だけが悪いわけではなく、ボランチの押川にしても狩野にしても、トップ下の伊藤にしても、もう少し入江の良さを理解した上で配球を考え、いい状態で持たせてあげられれば、入江ももっと結果を残せると思います。

 入江のところもポイントですけれども、DF並木とDF島貫のところもポイントで、よく後半修正できたなと思っています。そこがうまく修正できたことの方が褒めてあげたい部分ですね。

ーー前節の矢板中央戦では早い時間帯でセットプレーから失点してしまいましたが、今日の試合ではどういったところに注意して試合に臨まれたのでしょうか?

 矢板中央戦を見直しましたが、やはりマークの付き方だったり立ち位置などが明確になっていない部分もあって、そこはミーティングから話をして注意して臨みました。ただ今日も2回くらいあったので、まだしっかりやらないといけないと思いました。

 ただ体を投げ出して「いいヘディング」はやらせていなかったと思うので、その部分は評価できるのかなと思います。

ーー最前線でFW齊藤(慈斗)選手などはかなり体を張っている部分もあったと思いますが?

 頑張ってくれているとは思いますが、点は決めさせてあげないといけないと思いますし、点を決めてもらわないとチームの活力にはならないと思います。そこは齊藤自身ももう少し落ち着いてゴールにボールを流し込むくらいの余裕を持ってやってほしいですし、ムキになったところで良いパフォーマンスは出せないと思うので、もう1つ、アイデアがあるようなクオリティ高いプレーが出てきたら、今後彼の道が拓けてくるのかなと思います。そういったところは僕らも口うるさく指導していかなければいけない部分だとは思いますね。

ーーインターハイの出場権も得て、久しぶりの全国大会出場になりますが意気込みをお願いします

 まだインターハイまで1か月以上時間がありますし、その間にリーグ戦も3試合ほど戦わなければいけませんので。3年出場していなかったら初出場と何ら変わりはないと思っていますので、ウチはチャンピオンでもないですし、やれるところをしっかりやって、秋の選手権に向けてどこまで食い込めるのか、インターハイでどういう結果を残せるかまだわかりませんが、夏の課題を克服してどこまでできるか、インターハイの結果を受け止めて、帝京高校の使命として、選手権に向けてしっかり修正してやらなければいけないと思っています。

かといって、「じゃあインターハイは出るだけでいいのか」というともちろんそういうわけではなく、出場するからには上を目指すのはどのチームも共通の思いだと思いますので、僕らも同様に目標を高く設定して1つでも多く勝って彼らに自信を付けさせたいと思っています。

▽高円宮杯 JFA U−18サッカープリンスリーグ2021関東
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