もちろん、課題もあると彼は正直に語る。「ゴールキックの時、もう少し安定して蹴りたい」。それでも、この試合で見せた力強いパントキックからは、今後への大きな可能性が感じられた。

　最後に、彼は来年への想いを口にした。「人数はもうちょっといると嬉しいです」。たった10人で始まった新チーム。彼らの選手権は、わずか2試合で終わった。それでも、この日の敗戦は、彼らの心に確かな火を灯した。「みんなでチームとしてできたから、みんな満足してるんだと思います」。彼のその言葉は、勝敗を超えた、このチームの真の価値を物語っていた。

(文・写真＝西山和広)　

▽第104回全国高校サッカー選手権東京予選
第104回全国高校サッカー選手権東京予選