
MF野口慶人
秋らしい穏やかさを迎えた日大藤沢NFグラウンド。8-0という圧倒的なスコアで第104回全国高校サッカー選手権神奈川予選2次予選2回戦を突破した直後、背番号15を纏った野口慶人の表情には、勝利の高揚よりも、むしろ静かな決意が宿っていた。中盤でゲームを支配し、自らもゴールを決めたこの日。だが、彼の言葉が照らし出したのは、スコアの向こう側にある、もっと深い何かだった。
「じれることなく、ちゃんと自分たちのサッカーを継続してできた」
野口が口にしたその言葉は、一見シンプルだ。だが、その裏には、この夏を経て彼らが獲得した「成熟」が息づいている。相手が5バックで守備ブロックを固める中、ボールは持てても前に進めない時間帯。そんな膠着した時間の中で、多くのチームは焦りに飲み込まれる。急ぎすぎたパス、無理なドリブル、そして崩れる陣形。だが、日大藤沢は違った。
▽第104回全国高校サッカー選手権神奈川予選
第104回全国高校サッカー選手権神奈川予選

