それでもゴールを奪えずにいると、徐々に疲れが見え始めて相手に攻め込まれる場面が頻発する。30分には小森登生に右足でシュートを放たれ、肝を冷やした。
以降も相手のセットプレーに手を焼き、ゴール前で耐える時間が長くなる。そして、試合は終盤へ。誰もがスコアレスのままPK戦を覚悟したが、最後に劇的な結末が用意されていた。
8分と表示されたアディショナルタイムも残り僅か。時計の針は規定の時間を回っていた。中村が高い位置でボールを奪うと、相手のプレッシャーを掻い潜って、ゴール前の西川にボールを繋ぐ。西川も相手のチャージに体勢を崩してしまうが、前方の庄司に何とか送る。これを神田に渡すと、ペナルティエリア中央でドリブルを開始。シュートコースがなく、右に逃げるような形になる中で僅かにできた隙を見逃さずに右足を振り抜く。これがニアサイドに決まり、待望の先制弾。その瞬間、歓喜の輪ができると、主審が試合終了の笛を吹いて桐光学園の初優勝が決まった。
令和元年度全国高校サッカーインターハイ(総体)