大谷の得点シーン(写真=雨堤俊祐)

  試合後、大谷のキャプテンFW丸井翔太朗(3年)は「(4回戦の)京都共栄戦は一方的に押し込まれていた。今日は格上の東山を相手にビルドアップして自分たちのサッカーをしようと話していた」とゲームプランを説明した。新チームになってすぐの新人戦ではビルドアップが全くできず、チームとして取り組んでいこうとした矢先に新型コロナウィルスにより活動自粛へ。集まっての練習ができない中、中川智仁監督はオンラインを通じて様々なアプローチを試み、OBである武岡優斗(レノファ山口)と選手たちがZOOMを通じて触れ合える機会が設けられたこともあった。

  困難な状況の中でも選手がサッカーと向き合っていく中、インターハイは中止となったが、3年生にとっては最後の大会となる選手権は開催されることになる。「前半はこういう(観客の多い)会場の雰囲気に慣れていなくて、相手も強い」(丸井)という状況で苦戦を強いられるが、後半は左SB大森稜平(3年)が左足から中盤や前線にパスを供給して起点を作り、丸井も積極的にスペースへ飛び出すなど、自分たちのスタイルを表現できる時間帯もあった。終了間際にはCKのこぼれ球に対して、複数の選手が足を伸ばしてボールを蹴りこむ意地のゴールも奪ったが「後半に押し込めたときにゴールを奪えなかった。東山は守備の強さ、運動量や一つ一つの技術が僕たちより一つも二つも高かった」と相手との実力差も感じた試合だった。

 高橋圭三・前監督からバトンを引き継いで2年目となる中川監督は「京都共栄戦で見せた一歩一歩の出足の早さや、局面で戦いながら全体で連動することが、今日は早い時間での失点により発揮しきれませんでした」と悔しい表情を見せる。「今年は約5ヶ月間サッカーができなくて、(選手権予選まで残らずに)辞めていく3年生も多かった。この大会だけで5ヶ月は取り戻せないが、一つでも長くみんなとサッカーをしたかった」と言葉を続けた。4年ぶりのベスト8進出という成績を残して、今大会から去ることになった。

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▽第99回全国高校サッカー選手権京都予選
第99回全国高校サッカー選手権京都予選