遠野DF戸羽輝希(2年)の後半放ったクロスがオウンゴールを誘発(写真=小林健志)

 後半に入ると、徐々に遠野がボールを保持して主導権を握る時間帯も出てくる。MF昆野翔太(2年)は「前半は蹴り合いになってしまい、自分たちのサッカーができず納得いきませんでした。後半は相手の前、前という勢いを利用して横でつなげました」と遠野らしくしっかりパスをつなごうと試み、徐々に攻撃のリズムを改善していった。こうした中思わぬ形でゲームが動いた。58分遠野DF戸羽輝希(2年)のクロスボールが仙台育英DFに当たってオウンゴールとなり、遠野に先制点が転がり込んだ。

 その後は仙台育英も必死の反撃を見せ、DF玻名城元希(2年)の鋭い突破からのクロスやシュート、セットプレーからのDF面田凌(2年)のヘディングシュートなどもあったが、どうしてもゴールを奪えない。このまま試合終了し、遠野が1-0で逃げ切り、2回戦尚志戦へと駒を進めた。

 就任3年目でチームOBの遠野・佐藤邦祥監督は「中体連出身の子ばかりで経験の無い選手が多い中、セットプレーなどを耐えてリズムが出ました。中盤のパスワークも出せてよくやったと思います」と選手の奮闘を讃えた。中でも攻守の要として獅子奮迅の活躍だった昆野については「ボールを持っててアイデアも持っています。サッカーIQが高くて、相手の嫌なことを察知しています」と全幅の信頼を置いている。昆野はパス出しだけでなくドリブルも得意で「パスがダメでもドリブルでかき乱せたかなと思います。運ぶドリブルが得意です」と自身の武器を存分に使って試合の流れを引き寄せることに成功した。守備を粘り強くできたのも「自分の長所は予測からのインターセプトです」と語り、中盤での奮闘した昆野は勝利に大きく貢献した。

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▽第22回東北高等学校新人サッカー選手権大会
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