試合を通して橘の選手たちは、ただゴールを重ねるだけでなく、相手に主導権を渡さないことを意識し続けていた。

「勝った時こそ課題をすり合わせたい」と語った森谷監督の言葉は、選手たちの表情ともリンクする。彼らにとっての勝利は、次につながる一歩でしかない。

「自分たちはもっと点を取り続けたい。勝ち続けたい」と言った田中、「まだまだ満足していない」と語る林。この日の勝利は、目の前の結果に向かって最後まで前に出続けた、橘の意志の結晶だった。

　勝ち切ったその先にある、満足しない強さ。ピッチに残された課題と手応えを胸に、橘はまた次の試合へと走り出す。

（文・写真＝西山和広）