勢いに乗った二宮は、68分に決定的な瞬間を迎える。ペナルティーエリア内で永友が倒され、PKを獲得。これを自らがゴール左隅に沈め逆転に成功。「蹴る方向は決めていた。冷静にしっかりと蹴ることができた」と長友は試合後、笑顔で胸を張った。前半の苛立ちを教訓に、この大一番で見せた冷静さこそが、この試合の真のテーマを象徴している。「いつもキッカーは永友なんで、決めてくれるっていう安心はありました」というキャプテンの信頼に応えた一撃で、二宮は2-1の逆転勝利を手にした。
「逆転勝利ではありましたが、課題がたくさんありすぎて。全然ダメだったんですけど、とりあえず勝ったことは良かった」という伊勢谷監督の率直なコメントからは、勝利の喜びと同時に、この試合から得た教訓の大きさが窺える。
感情のコントロールという、スポーツにおいて最も重要でありながら最も難しい課題。前半の苛立ちが生んだ失点と、後半の冷静さが導いた逆転劇は、70分間という短い時間の中で選手たちが経験した成長の軌跡そのものだった。
▽第104回全国高校サッカー選手権神奈川予選
第104回全国高校サッカー選手権神奈川予選

