野口が語る「切り替えの部分だったり、守備の強度っていうのはもっと上げていかないとダメ」という言葉も、技術論を超えた精神論として、チーム全体に浸透している。
日大藤沢が目指すのは、単なる神奈川制覇ではない。新チーム発足時から掲げた「日本一」という目標だ。内田は「自分たちの代で日本一取るためには、この選手権しかないので、この大会にかける思いは部員全員人一倍どのチームよりもある」と強い決意を語る。
そして、その頂点への道は、単に技術や戦術を磨くだけでなく、監督が熱く語った「人間力」の研鑽によって切り拓かれる。「切り替えの部分だったり、守備の強度っていうのはもっと上げていかないとダメ」「試合の終わらせ方、今日の残り10分の終わらせ方はやっぱりあれじゃダメ」。選手たちが口にする課題は、すべて「自分たちへの厳しさ」に集約される。
悔しさを糧に、技術と精神の両面でスケールアップした日大藤沢。「日本一っていう目標は絶対ブレてないと思うんで、まずこの神奈川県予選を突破して、頂点目指してこの山をみんなで登っていく」(野口)。
この秋、彼らが「サッカーと社会はイコール」という哲学を胸に、どこまで高いところまで登り詰めるのか。彼らの挑戦は、まさに「人間力」を試すトーナメントだ。
(文・写真=西山和広)
▽第104回全国高校サッカー選手権神奈川予選
第104回全国高校サッカー選手権神奈川予選

