試合終盤、65分には駒場応援席から飛んだ「流れもってこい!」のコールに応援席が呼応し、ボルテージは一気に高まった。だがその熱気を跳ね返したのも、狛江の走力だった。中盤で食らいつき、相手の前進を許さない。アディショナルタイムにはFW11伊藤大翔がダメ押しの4点目を決め、勝負を決定づけた。

「守備は課題ですけど、今日はよく頑張った。日頃から言っていることを一生懸命やってくれた」と田中監督は選手を労う。キャプテンの伊藤(駆)も「落ち着いてゲームを進められた」と語り、箕浦は「次はシュートも打たせない」と前を向く。どの言葉にも「走り切る覚悟」がにじんでいた。

 チームの目標は「東京制覇」。それは容易なことではないが、彼らにはブレない武器がある。走り続けること、最後まで戦うこと。湿度すらも味方につけた都立狛江のスタイルは、この先も相手にとって脅威となるはずだ。

「もっと勝ち進んで強豪と戦いたい」と語る声が選手から次々に飛び出した。まだ道半ば。しかし、この日の4-0という結果は、走力とハードワークを信じ抜く彼らのスタイルが確かな手応えを得ていることを示している。次のステージへ、都立狛江はまた走り出す。 

(文・写真=西山和広)

▽第104回全国高校サッカー選手権東京予選
第104回全国高校サッカー選手権東京予選