優勝を決めた市立船橋

 後半、開始早々から市立船橋はMF高がボールをキープできる時間が長くなり攻撃の機運が高まると、4分にはコーナーキックのチャンスを得る。キッカーの杉山は1点目と同様、再び、DF原に合わせるがボールは頭上を越え右サイドへ流れる。このボールをフォローしたDF金子がMF真瀬とのパス交換からクロスを上げると、フリーのMF太田がヘディングシュートを決めてゴール。競り合いに走った流通経済大柏のGK西村だが、パンチングしようと伸ばした両手にボールが当たることはなかった。
 反撃したい流通経済大柏は7分。MF菊地がヘディングでゴール前に飛び込んだFW生方へ。生方もヘディングでシュートを放つが、ここはGK長谷川が弾き出しナイスセーブ。そして、後半も15分を過ぎると、流通経済大柏イレブンに焦りの色が見え始め、ファウルやパスミスが目立ち始める。それでも、30分には途中出場の19番・宮坂昂輝のロングスローから、こぼれ球をMF菊地がフリーでシュートを放つがゴールならず。その後も宮坂のロングスローを中心に流通経済大柏はゴール前へボールを送り込むが、市立船橋のDF原と杉岡のコンビが高い壁となってことごとく弾き返し、こぼれ球への反応も市立船橋の方が早くシュートチャンスをつくらせない。そして、アディショナルタイムには途中出場の7番・加藤千尋がミドルシュートを放つがGK長谷川が正面でキャッチし万事休す。市立船橋がそのまま逃げ切り2対1で流通経済大柏を下して2年連続21回目の全国への切符を手にした。
 流通経済大柏はサイドからシンプルにクロスを上げるケースが多かったが、特にリードされてからは攻撃がやや単調になってしまったのが悔やまれる。
 市立船橋はこの一週間、磨いてきたというセットプレーが見事にはまりライバル対決を制した。朝岡隆蔵監督は「(流通経済大柏とは)これまで4戦やってきましたが、お互いに今日の試合に懸ける思いが一番強かったと思います。その試合に勝てたのは大きいですし、連続出場を決められて選手に感謝しています」と語った。また、本大会まで1ヶ月ほどの時間があるが、「ゴール前の質を高めたい」と課題を口にした。ディフェンスには、朝岡監督も全幅の信頼を置いている原、杉岡のコンビがいるだけに、攻撃陣がさらに一皮剥ければ夏春連覇の偉業も不可能ではないだろう。

(文・写真 大平明)