フィルミーノはよく守備をする。前線でのチェイシングはもちろん、プレスバックもいとわない。その献身性がリバプールにおける自身の存在価値をいっそう高めている理由でもある。

FWにどこまで守備を求めるか。監督の考え方によるところが大きいだろうが、フィルミーノのように攻撃を組み立て、周りのよさを引き出し、自らもゴールを重ね、守備にもエネルギーを注ぐ9番は重宝するに決まっている。

プロのキャリアをスタートさせたばかりの染野が今、課題のひとつに挙げているのが「守備」だ。

「個人的に守備の部分がまだまだ足りないので、どこまでレベルアップできるか、意識を高くもって取り組んでいる。ただ、守備はチームみんなでイメージを合わせながらやらなければ意味がない。お互いに声を掛け合うのがすごく大事だと思う」

 個による守備と組織による守備。この兼ね合いを踏まえつつ、モダンなFWとしての完成形を目指す。

 19歳のとき、ブラジルからドイツに渡ったフィルミーノは、その後、リバプールに移籍し、5シーズン目を迎え、世界有数のFWへと進化を遂げた。

 フィルミーノと染野はちょうど10歳違いだが、数年後、こんなふうに評される日が来るのではないか、と思っている。

鹿島の攻撃のほとんどは染野のドリフトの結果として生まれている――。

(文=小室功)