(写真=森田将義)

 全国でも指折りの強豪である京都橘高に続き、2016年から本格強化に乗り出したのが系列の京都橘大だ。翌2017年からは高校出身選手や地元である京都や滋賀の選手に加え、大津高や富山第一高からも選手が加入するなど戦力は充実。関西学生サッカーリーグの最下層カテゴリーである3部リーグからスタートし、4年を迎えた今年は2部Aリーグまで駆け上がった。

 サッカー面での躍進もさることながら、注目に値するのがピッチ外での取り組みだ。橋詰広太郎監督の「(学校のある)山科地域に根付いたチームを作りたい」との方針により、今年の4回生が入学する前から熊本地震の募金活動を行うなどボランティア活動を行っていた。ただ、選手が本格的に集まり始めた2017年からは活動が中断。FW堤原翔(4年=枚方津田高)は「土のグラウンドでの試合から抜け出したかったので、3部リーグで優勝することだけに集中していた。1年生ばかりのメンバーで、上級生ばかりのチームに勝つのは簡単じゃない。正直、愛されるチーム、応援されるチームというよりも、勝つチーム作りを意識していた」と振り返る。

カテゴリーの上昇と共に部員数が増えた昨年からは選手の余裕が生まれ、スローガンとして掲げる「誰からも応援されるチーム」を目指した活動を本格化させた。選手発信によって行う活動の一つが清掃活動だ。大学の最寄り駅周辺と学校までの通学路のゴミ拾いを定期的に実施。夏前から始めた大学の近隣に住む小学生を対象にしたスクール活動も始めた。スクール活動の狙いについて、主将のDF矢野開大(4年=大津高)はこう話す。「山科区に根付いたチーム作りを目指す中で、自分たちの得意なことを活かせればと思った。また、社会人生活が間近に迫った中、サッカー以外の部分で活躍する場所を作りたかったのも狙いの一つ。子どもたちと接することで社会に出た時に自分に何ができるのか考える場にしたかった」。活動を知らせるチラシを小学校や児童館に配布した他、子どもたちへの指導法を学ぶためジュニア年代の指導に必要なキッズリーダーのライセンスも取得した。

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