「選手権に向けた栄養戦略」概要

 ただ、この今治東「栄養戦略講座」は今ここで始まったものではない。今年4月に内子から転任。南宇和・松山工に続き選手権出場に導いた谷 謙吾監督をサポートする森山 祐之朗コーチがこう話す。

 「この栄養戦略講座は今回で3回目です。最初は四国プリンスの前、次が選手権大会前。そして今回。特に選手権前には試合1週間前からリカバリーのプロテインを入れるなど、徹底した栄養管理に取り組みました」

 2012年4月に谷監督が今治東監督就任以来、サッカー部でも初等科サッカー部出身者半数程度が占める公立中等教育学校のメリットと技術・知識の基準づくりをベースに「対応力」を押し立ててきたチームコンセプト。屈強なセンターバックとしてチームをけん引する主将の大谷 一真(3年)も「自分たちの基準を上げることができた」と振り返る元・日本代表関東の岡田 武史氏がオーナーを務めるFC今治(2020年よりJ3参入)のコーチ陣が今治市内すべての小中高チームへ定期的に指導を行い、対して選手たちの多くも夏休みなどを使ってトップチームの練習に参加する「今治モデル」が与えたモチベーションの著しい向上……。

 こういった今治東ならではのチーム成長を快挙達成につなげる「ラストピース」。それこそがこの「栄養戦略」だったのである。

試合前合宿。マネージャーサポート。「栄養戦略」で超えた壁

 大谷、左足のキック力には定評のあるサイドバックの長井 李也、プレーメイカーのMF岡本 航汰、MF馬場 優汰の4名が名を連ねた2017年「愛顔(えがお)つなぐえひめ国体」U-16愛媛県選抜チーム年代の3年生を中心に「仲がいいチーム」(岡本)を強みとする今年の今治東。ただ、新田に決勝戦で苦杯をなめたインターハイまではピッチ上に仲の良さが反映されずらい状況が生じていた。

 「このころは大谷もチームをまとめるのに相当苦労していました。ただ、彼には周りに人が付いてくる不思議な力がある。そこでチームが夏を超えてまとまってきたんです」

【次のページ】 谷監督が手ごたえをつかむ半面