平成が間もなく終わろうとしている。高校サッカードットコムでは平成の30年間を振り返る。初回は永遠に続くのではないかとすら思われた長い激動の「昭和」から「内平らかに外成る」の意を込めた「平成」へと移った1989年(平成元年)。
「24時間戦えますか?」 日本は空前の"バブル景気"
1989年(平成元年)1月7日に昭和天皇崩御。日本国全体が深い悲しみに包まれた。翌8日より昭和から平成へと改元された。日本国内では日経平均株価が3万円台を超すバブル絶頂期、同年12月29日の大納会には史上最高値となる3万8915円をつけ日本中が空前の"バブル景気"に沸いた。戦後の日本の高度経済成長を支えた終身雇用制度、年功序列といった「日本的雇用慣行」が続き、猛烈に働くことが善とされていた時代。そんな時代を象徴するかのように、栄養ドリンク「リゲイン」のテレビCMソングは「♪黄色と黒は勇気のしるし 24時間戦えますか? アタッシュケースに勇気のしるし はるか世界で戦えますか? ビジネスマン、ビジネスマン、ジャパニーズビジネスマン!」と歌った。
国際社会では6月に中国政府が民主化デモを武力鎮圧した天安門事件が発生、ハンガリーやポーランドなどの東欧諸国では民主革命が本格化し、11月には28年もの間、東西ドイツを隔てていたベルリンの壁が壊された。東欧諸国における社会主義体制の崩壊と民主化運動を象徴する出来事だった。そして、12月にはジョージ・H・W・ブッシュ米大統領とソ連のゴルバチョフ共産党書記長が地中海のマルタで会談。44年間続いた冷戦の終結を宣言し、平和の時代が訪れると誰しもが考えた。激動の昭和から平成へと移った1989年(平成元年)は世界が大きく変わり始めた1年だった。