大津イレブン (写真=井芹貴志)

 Bブロックが最大の激戦区と言われる中で、Aブロックにも実績十分の強豪校が揃う。最注目校は熊本の大津。今年のチームは各所にタレントを擁し、攻守に隙がない。GK佐藤瑠星(3年)、ボランチの森田大智(3年)はU-18日本代表候補で、最前線のFW小林俊瑛(2年)もU-17日本代表候補歴を持つ191cmの大型ストライカー。センターラインだけではなく、その脇にも全国レベルのタレントがずらりと並ぶ。右SBの日髙華社(3年)は小学校時代に陸上100mで熊本県4位に入った経験があるスピードスターで、森田とボランチでコンビを組む薬師田澪(3年)は正確なキックでゲームを作るレジスタ。夏以降は1年生の大型MF碇明日麻も台頭するなど、下級生の成長も著しい。攻守に人材が揃える一方で、色々な戦い方ができるのも今年の強み。最終ラインからボールを繋ぐサッカーもできれば、縦に速いスタイルで勝負することもできる。また、山城朋大監督が「セットプレーが強み」と胸を張るように、ロングスローを含めてリスタートからゴールをこじ開けられるのも今までにはない特色だろう。今予選は4試合・32得点で守っても無失点。U-18高円宮杯プレミアリーグWESTでも終盤まで優勝争いに加わるなど、その力はJクラブと比較しても遜色なく打倒・青森山田の筆頭候補だろう。

 大津がこの山の最有力校だが、その他では前橋育英が面白い。8月のインターハイまでは脆さを見せていたが、夏以降にチームが安定。独力で局面を打開できる笠柳翼(3年、長崎内定)、小池直矢(2年)の両サイドハーフを支える徳永涼、根津元輝(ともに2年)のダブルボランチが一皮剥け、攻守で違いを生み出せるようになった。最前線の守屋練太郎(3年)もコンスタントに得点を重ねており、フィニッシャーを確立できた点も心強い。守備陣もキャプテンのCB桑子流空、群馬内定の右SB岡本一真(3年)などを中心に堅守を構築。大崩れする気配はなく、先のプレミアリーグ参入プレーオフでも安定した戦いぶりで5度目の挑戦で初の昇格を決めて選手権に弾みを付けた。自力だけを見れば大津に見劣りせず、4年ぶりの頂点を狙える力は十分にある。

 その他では前回優勝の山梨学院が尻上がりに調子を上げており、強かさと勝負強さで連覇を狙う。その山梨学院と初戦で当たる佐賀東も好チームで、MF吉田陣平(3年、新潟内定)を中心とする攻撃的なサッカーは全国でも通用する。大津と2回戦で対戦する可能性があるプレミアリーグ勢の東福岡は夏以降に守備が安定し、勝負強さを見せて予選を突破。得点力と打開力を備えるMF大渕来珠(3年)に加え、鳥栖U-18から転校してきた快速アタッカー・浦十蔵(2年)が本大会から出場する予定で攻撃力アップが見込める。大津撃破が果たせれば、一気に国立の舞台に駆け上がったとしてもおかしくない。

(文=松尾祐希)

▽第100回全国高校サッカー選手権
第100回全国高校サッカー選手権