今年の選手権予選では関東一と接戦を演じるなど健闘を見せた(写真=多田哲平)

――選手権予選で関東一をギリギリまで追い詰めた戦いぶりも含め、今年1年で戦い方の基準が変わったところもあったかと思いますが、いかがですか。

 関東一戦で、新チームの軸となる高2の選手が6人先発したのは、大きな財産です。相手は強豪だし、まして高3が多いチームに対してある程度通用する手応えを肌感覚で知れたのは、貴重な尺度になります。それを物差しにして、自分がどれだけ足りていないかが測れるわけですから。

 そして、その経験をした生徒たちが率先して行動してくれれば、それがチーム全体の基準になるし、それがその次の年にもつながっていく。毎年の積み重ねで基準値を少しずつ上げていくことによって、チームは強くなっていくもの。だからあの関東一戦の経験はものすごく大きい。それを無駄にしないように、出ていた6人がいかにチームに還元できるかが重要です。

 一方で、新年度は難しいシーズンにもなるという危機感もあります。他の学校からは「今年の武蔵は昨年のメンバーも残っていて結構強いぞ」と見られるし、昨年度までの積み上げで、ある程度は上手くいってしまう可能性もある。そこで勘違いしてはいけないなと。ですから「結果を出したいなら、現状に満足せずに、日々の練習に全力を尽くそう」と生徒にもよく話をしています。

 試合になって急にいつも以上のものを発揮することは絶対にできないから、この長い1年のなかで、日々の練習を突き詰めようと。手を抜いてしまう時があるかもしれないけど、そういう日を無くしていこうと。それを乗り越えた人間が最後に良い想いを絶対にできる。それを伝えていますね。

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