
闘志あふれるプレーでボールホルダーに襲いかかるセンターバックの重行拓也
小山監督の意図をしかと受け止めた選手たちは、炎天下の試合であることを忘れさせるくらいファイトした。後半6分に左FKのチャンスを生かし、センターバックの安部勇輝がヘッドでねらう。13分には最後尾の重行拓也からのロングフィードをFW井之元和之がいったん収め、右サイドに展開。パスをもらった藤井慎之輔がカットインして思いきりよくシュートを放つ。さらに14分には小栗和也がドリブルで中央を持ち上がり、右斜め前のスペースに走り込んだ井之元和之にスルーパス。相手GKと交錯するなど、きわどいシーンを作り出した。
中央学院大のスピーディーな展開から何度かディフェンスラインの背後をとられたものの、ギリギリのところで食い止め、センターバックの重行拓也が体を張って守った状況では小山監督から「そういうプレーがチームを助けるぞ!」という声が飛ぶ。
この日、最大のピンチを挙げるとしたら、後半25分すぎの相手FKのシーンか。自陣左でのFKに対し、逆サイドの大外でシュートを打たれる。GK大野哲煥から「ボールウオッチャーに気をつけよう!」という指示がすかさず飛んで、集中力と注意力の低下を阻んだ。
後半の中盤以降、同点に追いつこうと攻撃のボリュームを増やしてきた中央学院大に守勢に立たされた。だが、「流れのよくない時間帯はある。そういうときでも我慢してしのいでいるだけじゃなく、前に出ていく意識が大事だった」と田中崚平が振り返ったとおり、返す刀を忍ばせていた。
その急先鋒のひとりがFW井之元和之だ。中央学院大のスキを逃すまいと、ここという瞬間に一気に加速し、相手ゴールに迫る。
「今日は攻撃より守備の仕事が多かったかもしれないけれど、自分が前から守備をすることで後ろがボールを取りやすくなる。中盤の選手も頑張ってつぶしてくれていた。チャンスはあったので、チームをもっと楽にするためにゴールを決められればよかったけれど……(苦笑)。そこは次への宿題ですね」
1対0という緊迫した展開のなか、最後までゼロで抑えきった守備の中心、重行拓也が「公式戦では今のところPKの1失点だけ。チーム全体で守るという意識が高くなり、安定感が出てきた」と手ごたえを語れば、GK大野哲煥も「みんながさぼらず、必死に戦っていた。後ろから見ていて頼もしかった」と同意する。
試合終了後、「大学に入って2部リーグの優勝は経験しているけれど、トーナメントでは初めて。小山監督に優勝をプレゼントしたかったので、素直にうれしい」と4年生の面々がチームの気持ちを代弁し、喜びを分かち合う。
だが、それも束の間。「まだ次がある。ここで終わりじゃない」と、早くも気持ちを切り替えていたのが印象的だ。
総理大臣杯の県代表権を兼ねた今大会での優勝を糧に、城西国際大はさらなる飛躍を誓う。5月30日から関東予選が始まるが、その5日前に組み合わせ抽選会が行われる予定だ。
(取材・文・写真=小室功)

