PKを防ぐ大野哲煥

 ここで先制点を奪われると精神的に大ダメージを受けるところだったが、GK大野哲煥がチームを救う。「試合前にGKのプレー集を見て、シミュレーションしていた」と語ったとおり、他の場面でも安定感溢れるプレーでピンチをしのいでいたが、この場面でも彼は冷静だった。「フェイントを入れられたんですが、最後まで粘って、コースも見えていました」と、相手キッカーのモーションフェイントにも惑わされることなくシュートコースを読み切り、左側に飛んでシュートを跳ね返してみせた。

 後半も負けられない両チームの意地がぶつかり合い、見ごたえのある攻防が続く。「もっと自信を持ってパスを繋ぐように」という小山哲司監督のハーフタイムの指示が功を奏したのか、後半9分にMF田中峻平、DF津川暢彰が立て続けにシュートを放つなど、城西国際大が相手ゴール前に迫る場面が増えていった。後半23分にはケガを抱えていたMF松川翔に代えてFW木村涼をトップ下に入れて4-2-3-1に、後半30分には長身FWの香川滉太を入れて4-4-2にして最後までゴールを奪う姿勢を見せる。しかし決定打に結びつけることはできず、スコアレスドローでタイムアップの笛を聞いた。

 数多くのケガ人を抱える中、雨中のアウェイゲームという逆境の中でつかんだ勝ち点1。直接対決でライバルとの差を広げることはできなかったが、小山哲司監督は最後まで戦った選手たちを称え、次のような言葉を送った。「最初から引いて守って勝ち点1を狙いに行ったわけではなく、結果的にそうなっただけ。PKを取られて、それをGKが弾いてくれて、引き分けに持ち込むことができたんだから、決してマイナスではない」

 春季リーグは残すところ1試合。殊勲のGK大野哲煥は「自分一人の力で引き分けに持ち込んだわけじゃない。みんな頑張ってくれて、体を張ってくれたから、見ていて安心できた」とチーム全員の粘り強いプレーを評価しつつ、「ラスト1試合、全員一丸となって戦って、春季リーグを無敗で乗り切りたい」と、最終節に向けて気持ちを引き締めた。

(取材・文・写真=池田敏明)