
貴重な決勝点をマークしたボランチの田中崚平
城西国際大が1点のリードで迎えた後半は追いかける明海大のギアが上がった。ボールを奪うと、左右のスペースに素早く展開し、果敢にゴールに襲いかかってくる。
「相手は負けていたのだから出てくるのはわかっていた。逆に、スペースが空いてきて、チャンスが生まれるんじゃないかという話をしていた」と小山監督が指摘するとおり、両チームのゴール前があわただしくなり、試合が活気づく。激闘を物語るのは、足を痙攣させて交代した選手が多かった点だ。
そして後半31分に同点に追いつかれる。だが、小山監督は「相手の力を考えれば、1点くらいは覚悟していた。大事なのは2点目。そこが勝負の分かれ目だった」と冷静に戦況を見ていた。
試合は一進一退のまま終盤に入り、そこでついに雌雄を決するゴールが生まれる。
後半40分、左サイドからのクロスにゴール前で競り合い、そのこぼれ球を拾っての二次攻撃だった。ゴールスコアラーの田中崚平がこう振り返る。
「最初にボールを止めたとき、まだシュートのイメージはなかったけれど、相手が止まったような気がして、もう一回タッチした。そうしたらシュートコースが空いたような感じがして。でも、本当はよくわからないんです(苦笑)。思いきって打ってみたら、あれ、入ったという感じで。ラッキーでした(笑)」
値千金のシュートはゴール左隅に吸い込まれたが、相手GKが一歩も反応していなかった点から察するにボールがよく見えていなかったのではないか。意表をつかれたような表情を浮かべていたのが印象的だった。
ゴールを決めた田中崚平はスタンドで応援するチームメイトに一目散に駆け寄り、もみくちゃになりながら喜びを分かち合った。
アディショナルタイムを含め、ここから残り10分ほど。死力を尽くす戦いにエネルギーはもう切れかけていたはずだが、最後の最後まで足を止めることはなかった。勝って終わる――。選手たちを突き動かしていたのはその思いだけだった。
春期リーグはこれで全日程を終えた。9月上旬からまた新たな戦いが始まる。夏の強化期間を経て、さらにレベルアップした姿を見せてくれることだろう。
(取材・文・写真=小室功)

