茨木の都浩司監督

 3月6日、令和3年度大阪公立高校プレ大会の決勝がJグリーン堺S1で行われ、千里茨木が大阪公立校No.1を目指し激突。終始優勢に試合を進めた茨木が後半にMF高瀬の2ゴールを含む3ゴールをあげ、3-0で千里を破り見事な優勝を飾った。

 ゲーム後、茨木の都浩司監督は「千里高校さんは試合の度に強くなって来ていたので、前半はすごく苦しみました。凄くいいチームでしたね。うちはワイドが強いので、もっと使えればと思っていたんですが、千里さんも守備を頑張っていたので。後半はそこを選手たちが自分たちで考えて修正してゴールに繋がったのかなと思います」と試合を振り返った。

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【マッチレポート】令和3年度大阪公立高校プレ大会準決勝 大塚 vs 茨木

 「この公立大会は自分たちで練習からメニューを考えて、メンバーやハーフタイムの指示、交代までを自分たちでやると決めた大会でした。ハーフタイムに帰ってきて、指導者の指示を聞いてまた出ていくだけではなくて、まずは自分たちで話して指導者が客観的に伝えることが大事だと思っていますので」と今大会は選手自身が考えて全てを決めていた茨木。

 「U-17のW杯でブラジル対フランスがあったんですが、0-2でブラジルがリードを許してハーフタイムに帰ってきた時に、ベンチから選手が出て来て言い合いを始めたんです。その後ブラジルが逆転して3-2で勝ったんですが、"これが高校年代では大事なんじゃないか"と思った」と都監督は今回のやり方を始めたきっかけについてコメント。

 その効果については「今日もそうでしたが、試合に出ている子も出ていない子も一緒に意見を出し合って、練習のメニューから相手の分析まで、勝つ為にどうするかを自分たちで考える。そういう思考のところが伸びたんではないかと思います」とこの大会を通して選手たちの成長を実感したと話す。「元々力はあったと思うんですが、チームワークもよくなったと思いますし、インターハイやリーグに生かせればと思います」とこの経験を今後に繋げていくつもりだ。

 茨木高校は大阪でも有数の進学校ということで、選手たちは勉強とサッカーを高いレベルで両立している。「みんなサッカーをしたくて入って来てくれているので、勉強はやるのが当たり前な子達なんです。3年間彼らの学校生活をみていると、勉強してサッカー、そしてまた勉強と。勉強も熱くなりたいですし、サッカーも熱くなりたいという集団なんです。先輩たちもそうなので、それが普通になるんだと思うんですよね」と、その両立もそれが当たり前のことになっていると明かす。

 決勝戦はJグリーン堺S1というピッチで行われたが「こんなところでやらせてもらって本当に幸せでした。本当に選手たちに感謝したいです。今度はインターハイや選手権予選でここに戻ってきたい」と都監督も例年では大阪予選の準々決勝で使われるこのピッチに戻ってきたいと意気込んだ。

 最後に都監督は「勇志の先生方がこうやって手弁当、ボランティアで運営して下さって、"公立を盛り上げたい"という先生の集まりで出来たので本当に感謝しかないです。公立高校が本当に全国に出るのを夢に頑張りたいと思っているので、今後もこの大会を発展させていきたいと思っています」と自身も実行委員で参加した大会を開催できたことに感謝の言葉を残した。

 公立校が全国に出る為への第一歩として茨木がその名を公立校大会に刻んだ。昨年、都監督は大阪高体連の技術部として選手権で阪南大高に帯同。その効果を「その時の阪南大高に学んだ守備がチームをレベルアップさせてくれました」と話した。大阪の公立校には1部リーグやベスト8の壁が現状では存在する。しかし諦めることなく、公立校が一校でもそこに食い込むことで大阪全体のレベルアップに繋がる。そうやって本気で取り組んでいる先生たちの熱い気持ちがこの大会に詰まっていた。

 

 (文・写真=会田健司)

▽令和3年度大阪公立高校プレ大会
令和3年度大阪公立高校プレ大会