武蔵を率いる岩永雄太監督(写真=多田哲平)
「チーム全体で、特に高3の子を中心に自分たちで要求し合って、普段の練習から『ああだこうだ』言いながらやってくれています。強度が低かったら『もっとやろうぜ』と。僕が注文をつけることはほとんどなくて、試合のハーフタイムでも僕が話す前にまず選手たちで話し合ってくれる。そうやって主体的にやれているのは良いし、まさにそこが一番成長したなと」
武蔵と言えば、多数の東大合格者を輩出する都内屈指の進学校である。それでもサッカー部の3年生は全員が冬の選手権まで残るという。今年も新チームの立ち上げに時にいた8人が全員この選手権を戦っている。その流れは前任の大西正幸監督時代から続いているそうだ。
「今は残るのが当たり前という空気でやれています。なかには高3に上がる前に『勉強に専念したいので』と言って部活を辞めてしまう子がいるのも事実です。ただ現役東大合格者には、実は部活を続けてやってきた子が結構多いんです。練習をしながら隙間の時間を見つけて勉強をやっていると思いますが、特に選手権が終わった時の『やり切った』という感覚が、次(受験)に切り替えるためのスイッチになるのかなと。生徒たちは時間がないことを自覚しているので、そこからの集中力が凄まじいものがありますね」
勉強に打ち込むためにも部活を全力で。そうした精神がチームの原動力でもあるのだ。
「文武両道を求めていって、武蔵みたいな学校がもっと上にいけたらいいなと思っています」
そう言って岩永監督はさらなる躍進を見据えた。
(文・写真=多田哲平)
▽第101回全国高校サッカー選手権東京予選
第101回全国高校サッカー選手権東京予選