ハーフタイム、ベンチではキャプテンの玉木琉生が声を上げた。「次の1点が大事だぞ」。その言葉が、後半のピッチに再び立つ鈴木の心に刻まれる。「相手よりも集中して入って」と、そう誓った鈴木は、後半立ち上がりから攻撃を仕掛け続けた。自身のヒールからのクロスで生まれたチャンスは惜しくも決まらなかったが、流れは確実に横浜商大高のものになっていた。そして47分、チームメイトが追加点を奪う。「自分たちのペースで持っていって、点を決められた」。鈴木のゴールがチームに炎を灯し、仲間がそれを3点目へと繋げた。「点が入らないチーム」だった横浜商大高が、この日は3ゴール。積み重ねてきたものが、確かに実を結んでいた。

 しかし58分、平塚学園が1点を返すと、試合の景色は一変する。ロングスロー、セットプレー、ゴール前の混戦。怒涛の攻撃が横浜商大高のゴールを脅かす。「自分たちはあまり身長が高くない方なんで、なるべく避けたいって話はしてた」と鈴木は振り返る。だが、「結果的には点を決められなければいい」。そのシンプルな信念で、彼らは耐え続けた。

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▽第104回全国高校サッカー選手権神奈川予選
第104回全国高校サッカー選手権神奈川予選