「チームの5原則の中にもあるセカンドボール」。それを徹底しなければピッチに立つ資格はない。鈴木はそう信じていた。「出るからには責任を持って戦わないと3年生に申し訳ない」。その言葉には、少ない3年生を想う2年生の覚悟が込められていた。失点の多さという課題を抱えるチームだからこそ、守備陣には「失点すんな」と強く言い、自分たち攻撃陣は「点を決めないと勝てない」と自覚する。お互いを思いやり、点を決めるところは決めて、守るところは全員で守る。その約束が、チームを一つにした。
「1つ1つ飛んでくる(拍手という名の)声っていうのは、すごく通じた」。静寂の中だからこそ、サポーターの想いが一打一打、明確に届いた。「笛が鳴るまで気を抜いちゃダメ。スキを作ったら失点する」。鈴木は最後まで集中を切らさなかった。監督の表情を見る余裕すらなかった。ただひたすら、目の前のボールだけを追い続けた。
▽第104回全国高校サッカー選手権神奈川予選
第104回全国高校サッカー選手権神奈川予選

