試合後、鈴木は静かに語った。「インターハイ負けたっていう悔しさがあって、平学さんよりも自分たちの方が思いが強かったんじゃないかなって思います」。その言葉には、4カ月間積み重ねてきた全てが詰まっていた。足を振る練習。半歩ずらす感覚。キーパーの死角を突く技術。そして何より、3年生のために戦うという誓い。

 チームの目標はベスト4。「その前の段階で平学戦っていうインターハイで負けた相手と戦えて、今日勝ったことはうれしい」。だが、鈴木の視線はすでに次を見据えていた。「今日までは一喜一憂して、次の日から3回戦に向けて」。失点の多さ、足を振り切る勇気。まだまだ課題は山積している。次の相手は大和。その先には、過去の先輩たちが越えられなかった横浜創英の壁がある。「その思いも背負って戦いたい」。鈴木の言葉には、歴代の先輩たちへの敬意と、自分たちの代で成し遂げるという決意が交錯していた。

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▽第104回全国高校サッカー選手権神奈川予選
第104回全国高校サッカー選手権神奈川予選