優勝した京都橘(写真=雨堤俊祐)
前半と同じような展開で幕を明けた後半は、6分に京都橘に追加点が生まれる。今度は右サイドからMF青山楽生(2年)のロングスローを空中戦で競り合った東山守備陣がクリアできず、ファーへ流れたボールをMF宮嶋大輝(2年)が体を投げ出して頭で押し込んだ。
2点ビハインドとなった東山は52分、67分に選手交代で攻撃的な選手をピッチへ送り出して勝負に出る。投入されたMF李隆志(2年)がドリブルでチャンスを作るなど流れを引き寄せると、72分にMF真田蓮司(1年)のCKをMF藤枝康佑(2年)がヘッドで決め手1点差とする。
さらにDF梅田梨央(3年)らを前線へ上げたパワープレーで何度もゴール前へボールを送り込むが、京都橘もDF山内琳太郎(3年)が後半途中に負傷交代するというアクシデントがあった中、DF小山凌(3年)や中野を中心とした守備陣が懸命のプレーで耐える。試合はそのまま2-1で終了。接線を制した京都橘が、全国への切符をつかんだ。
今大会、圧倒的な攻撃力で初戦(3回戦)から12-0、6-0、6-1、6-0と4試合で30得点を叩き出してきた京都橘。決勝では東山の前に2得点に終わったが、ロングスローからの2発で勝利をつかんだ。今年は身長の高い選手が多いというストロングポイントを、セットプレーで生かせる強さを持っている。また、前線の西野は地元のJ2徳島へ入団内定しており、コンビを組む木原もすでにJ1強豪クラブのスカウトが熱視線を送る存在で、強力2トップは全国でも相手の脅威となりそうだ。
ただ、米澤一成監督は「(決勝戦で相手は東山ということで)固い試合になるのはわかっていたが、それにしても良くなかった。ロングボールを蹴りすぎたし、攻め手もワンパターン」と攻撃で苦労した試合内容に不満を隠さない。「試合運びも下手だった。勝てたことはありがたいし、次につながるけれど、反省しないといけない」と勝って兜の緒を締めていた。西野も「自分たちのやりたいサッカーはできなかった。みんな裏の意識が強すぎたし、どこかで落ち着かせたかった」と話している。一方で「勝負強さは発揮できた。終盤に1点差に迫られた状況で、全員が声を出し合って守りきれたのは自信になる」と今大会初めて経験する接戦を制したことをプラスにも捕らえている様子だった。
キャプテンの中野は「京都大会はここまで対戦してきたチームの思いも背負って戦ってきたが、全国では京都府の代表として戦うことになる。課題とも向き合って、選手権までの期間でそうした部分にも取り組んで、全国優勝を狙いたい」と意欲を見せた。
▽第99回全国高校サッカー選手権京都予選
第99回全国高校サッカー選手権京都予選