鹿本 vs 熊本国府(写真=井芹貴志)

 後半に入っても熊本国府が押し込み、鹿本が跳ね返すという構図は変わらず、時間が進むにつれて熊本国府にもミスが目立つようになる。しかし後半の飲水タイムを挟んで、佐藤監督の指示で攻撃時には3-5-2の形を取って勝負に出ると、前半から積極的にゴールに向かう姿勢を見せていたFW山下が殊勲の決勝点を挙げる。

 76分、右サイドを持ち上がったDF高山桜介の折り返しを納めた山下が「ペナルティスポットの後ろからでも常にシュートを意識しているので、パスを受けた時のファーストチョイスだった」と思い切って右足を振り抜き、これが左隅に決まる。残り時間、鹿本も最後まで粘りながら点を取りに出たが、このまま熊本国府が勝ち切った。

 決勝進出を逃した鹿本の古閑健士監督は、「ちょうど相手が治療のため1人少なくなっていた時で、少しフワッと力が抜けていたというか、『大丈夫だろう』という気持ちが生まれていたことが失点につながったと思います。ここから上に行くには、そうした変化を自分たちで気づいて声をかけたり、考えて行動できるように修正していかないといけない。求めたことができるようになったことは成果ですし、ベスト4は間違いなく子どもたちにも自信になったと思うので、リスクを冒して、勇気を持って攻撃に出るという攻撃面の課題にも取り組みたい」と話した。

 一方、熊本国府の佐藤監督は、「攻撃面では逆サイドへの展開で揺さぶって、中が開けば中ということを繰り返し練習してきましたが、相手の距離感もよく、スペースがなくて苦戦しました。セットプレーでもなかなか得点が取れず、逆にセットプレーからやられる可能性もあったので、しのげたことは大きいと思います」とゲームを振り返り、決勝に向けては「攻撃の展開と中央での崩しのスピード、質を上げることが課題。力のあるチームとやるゲームほどウチの良さが生きるので、大津さんの質の高い攻撃をしっかり守りながら、チャンスを確実にものにする自分たちのサッカーができればと思います」と意気込みを語った。

(文・写真=井芹貴志)

▽令和2年度熊本新人戦(新人選手権大会)
令和2年度熊本新人戦(新人選手権大会)