県高総体敗退の悔しさバネに聖光学院が奮闘。仙台ユースも後半猛攻でドローに

聖光学院 vs ベガルタ仙台ユース(写真=小林健志)

 4月4日に開幕した高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ東北は5月9日の第7節までは宮城県に県内独自の緊急事態宣言や、まん延防止等重点措置が適用されていた影響で、ベガルタ仙台ユース、仙台育英高、聖和学園高の3チームの試合は延期となっていた。まん延防止等重点措置が解かれた後の5月15日第8節から宮城県の3チームが出場し、当初公式戦が予定されていなかった5月下旬や6月中旬に延期となっていた試合を消化している。

 6月12日、延期となっていた第5節聖光学院-ベガルタ仙台ユース戦が仙台市のマイナビベガルタ仙台泉パークタウンサッカー場にて行われた。聖光学院がホームのため、福島市内で行われる予定だったが、都合によりベガルタ仙台ユースのホームグラウンドで行われることになった。聖光学院はこの試合が7試合目、ベガルタ仙台ユースは2試合目となる。

 立ち上がりはベガルタ仙台ユースが攻め込むが、聖光学院はキャプテンDF平山遼(3年)を中心に陣形をコンパクトにして、冷静な守備を見せる。そして21分、再三左サイドから縦突破を仕掛けていたDF南雲遥翔(2年)のクロスに対し、「クロスに積極的に反応してゴールを狙おうと思っていました」というFW佐藤慧真(3年)がフリーでヘディングシュートを決めて先制した。

 その後はベガルタ仙台ユースもDF野川岳(3年)が再三縦突破からクロスを上げるが、聖光学院は平山を中心に相手の攻撃をはね返し続け、相手をシュートまで持ち込ませず、1-0とリードを守って前半を終えた。

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聖光学院 vs ベガルタ仙台ユース(写真=小林健志)

 後半も聖光学院が守備の集中を保ち続けていたが、仙台ユースは攻撃の勢いを強め、徐々にシュートまで持ち込む場面が増えていく。そして79分FW工藤紫苑(3年)がドリブル突破を仕掛け、MF荒川颯磨(3年)にパス。「1回キックフェイントを入れたら相手DFがずれて、相手はファーを切ってきて、ニアが空いたのが見えたのでそこに打ちました」と放ったシュートがゴールに突き刺さった。その後もベガルタ仙台ユースが攻め込む展開だったが、聖光学院は守備陣が踏ん張りを見せ、1-1の引き分けに終わった。

 健闘を見せ、勝点1を得た聖光学院は、6月5日の福島県高校総体準決勝帝京安積高戦で0-3と完敗を喫した。先制点を挙げた佐藤慧は「帝京戦は酷い試合で、思うように動けず、そういうゲームを繰り返したくないと、3位決定戦の福島東高戦から改善できました」という球際に強い守備、コンパクトな陣形を保った守備が機能した。山田喜行監督も「帝京戦で何も出し切れず、そこで自分たちに向き合って、3位決定戦で今まで勝っていなかった福島東に勝てたのが自信になり、もう一度強くなると言う意志が見られました」とJクラブアカデミー相手に奮闘した選手たちを評価した。「(ベガルタ仙台ユース荒川に)右方向に行かれたところで、左足を出してしまいました。そういう細かいところを突き詰めないといけません。相手はこのワンチャンスだけだったと思うので、勝点2を失った部分を修正したいです」と失点の場面でのDFの対応を悔やみ、今後のリーグ戦で勝点3を積み上げるため、より細部にこだわっていきたいという。

 一方、苦戦したベガルタ仙台ユース木谷公亮監督は「引いた相手に対して、最後の局面のところでもう少しいろいろなパターンで崩せるクオリティを見せていかないと得点することは難しいと思うので、もっと練習していきます」と、ボールを保持しながらも、相手を脅かす攻撃が少なかったことを悔やんだ。5月中旬まで公式戦を戦えず、公式戦再開後も関係者に新型コロナウイルス陽性反応が出て、一時的に活動休止となるなど、例年のような調整ができない難しさがあるが、「目の前の1試合1試合、1日1日、1練習1練習、まずはそこに集中して、出た課題を修正して、良い部分を伸ばして成長させていく、その繰り返しが試合の結果につながっていくと思います」と今後に向けてできることを地道に積み上げていきたいという。ゴールを決めた荒川も「まだプリンスリーグでは勝ちが無いので、絶対勝って勝点3を積み上げていきたいです」と翌週に行われるモンテディオ山形ユース戦へ意欲を見せていた。

(文・写真=小林健志)

▽高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2021 東北
高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2021 東北