共に守備陣が奮闘。聖和学園と仙台ユースの宮城勢対決はスコアレスドロー
仙台ユースGK浅沼英志は遠野中(岩手)出身の1年生。安定したプレーを見せクリーンシートを達成(写真=小林健志)
高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ東北は6月26日、第9節5試合が行われた。聖和学園高三神峯キャンパスグラウンドでは、聖和学園とベガルタ仙台ユースの宮城勢対決が行われた。5月中旬まで公式戦を行えなかったチーム同士で、共にリーグ戦4試合目となる。
前半は仙台ユースがショートパスによるビルドアップからゴールを目指し、聖和学園はドリブルを使って相手守備陣をこじ開けようと試みた。15分には聖和学園主将MF八塚龍芽(3年)のドリブル突破から、MF永井大士(3年)がシュートを放つが、惜しくもゴール上へとそれる。その後は仙台ユースがボールを保持して、機を見てゴールを狙い、22分、39分とMF荒川颯磨(3年)がシュートを放つが、ゴールは枠を捉えられず、前半は0-0で終えた。
後半も仙台ユースがボールを保持するが、聖和学園はDF轟硫伯(3年)や、DF山田宗汰(3年)が攻撃をはね返し、GK岡部龍之介(3年)もクロスやシュートへの反応が良く、なかなか決定的な場面を作れなかった。試合終盤になると、聖和学園がカウンターからチャンスを作り、途中出場のMF守屋湧磨(3年)やMF大瀬拓巳(3年)が果敢にドリブルで仕掛けるが、仙台ユースもプリンスリーグ東北初出場のDF阿部駿也(2年)や、長身DF太田翔瑛(3年)、GK浅沼英志(1年)が最後まで集中を切らさず、聖和学園の攻撃を防いでいく。アディショナルタイムには仙台ユースの長身FW中田有祐(2年)がヘディングシュートを放ったが、聖和学園GK岡部がキャッチ。最後まで双方のゴールネットは揺れず、0-0の引き分けに終わった。
聖和学園GK岡部龍之介は安定した基本技術とパス精度の高さでクリーンシート達成(写真=小林健志)
聖和学園は6月12日の第2節尚志戦1-0勝利に続く、無失点試合。「守備を意識しながらやっている中、尚志戦よりも良い形を作れて、しんどいところでもゴールに向かう姿勢がありました」と加見成司監督は、守備を安定させつつ試合終盤に決定機を多くつくれたことを評価した。2試合連続クリーンシート達成のGK岡部も「センターバックの轟はヘディングが強くて空中戦を勝ってくれて、山田も下で抑えてくれます。サイドバックの2人もボールを持てる選手なので、自分も入れて5人でビルドアップしてミスを減らそうとしています」と、DFラインと連係しながら守備の安定を図れているという。主将の八塚も「粘り強く声を掛け合うことを意識し、失点0に抑えたのは収穫」と語るが、「後半の決定機を決めきらなかったのが課題」とゴールが無かったことも課題と捉えていた。次の試合は5月の対戦では0-3で敗れている青森山田高セカンド。現在首位の強豪相手に守備を機能させつつ得点を取ることを目指す。
一方の仙台ユースは6月19日のモンテディオ山形ユース戦で1-4と大敗。しかし、翌日U-17年代のリーグ戦Jユースリーグで再び山形ユースと対戦し、4-0で勝利したことで、Jユースリーグで活躍した選手が多く先発起用され、守備を修正できた。木谷公亮監督も「前節4失点して負けているので、もう一度しっかりとした守備から入るために準備してきた中で、コンパクトに90分間、カバーのところも含めて良く戦えていたと思います」と守備の部分を評価。Jユースリーグでの活躍が評価されて、プリンスリーグ東北デビューを果たしたDF阿部は「相手の守備の出方を見て、自分たちが慌てず焦れずにパスをしてボールを保持して、自分たちの時間にすることを意識してやっていました。DFとしては失点0で終われたので良かったです」と手応えを語り、出場3試合目にして初のクリーンシートのGK浅沼も「無失点で抑えられたところは良かったと思います。テクニックがすごい相手だったので、DFの距離感、サイドバックとの距離感、コミュニケーションのところを意識してプレーしました」と連係面の向上を語る。木谷監督は「守備のところでまずコンパクトに入ったので、そこから攻撃に対してのパワーや距離というのは、これからより強くなっていく上での課題です」と、良い守備をしてボールを保持した後、いかに攻撃にパワーをかけられるかを課題に挙げた。中3日で行われる6月30日尚志戦では守備のバランスは維持しつつ、ゴールに迫る場面も多くつくっていきたい。
(文・写真=小林健志)
▽高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2021 東北
高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2021 東北