何度も決定機を作り出すものの勝ち越しゴールを奪えず…流通経済大柏が柏レイソルU-18とドローに終わる

同点ゴールを決めた流通経済大柏FW清水蒼太朗(写真=松尾祐希)

 10月2日、高円宮杯 JFA U−18サッカープレミアリーグ2021 EAST第13節が行われ、流通経済大柏(千葉)は柏レイソルU-18(千葉)と引き分けた。

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 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で発出された緊急事態宣言により、中断を余儀なくされていたプレミアリーグ。互いに実践からかなりの期間遠ざかっており、流通経済大柏は8月中旬のインターハイ以来、柏レイソルU-18は7月4日のプレミアリーグEAST第9節の市立船橋戦以来の公式戦となる。その中で迎えた試合は開始早々に動く。

 立ち上がりから流通経済大柏はアグレッシブな守備で前からプレスをかけたが、一瞬の隙を柏レイソルU-18に突かれてしまう。6分にGK谷合善祇(2年)がボールを持つと、FW真家英嵩(3年)が素早く寄せる。「相手GKの止めたボールが足元に入り過ぎていたので、行かないふりをしてダッシュした」という真家に巧みな駆け引きでプレッシャーをかけられてしまう。うまくボールに触られると、FW山本桜大(3年)にこぼれ球が渡る。多少距離はあったが、無人のゴールに蹴り込まれ、流通経済大柏は予想外の形でリードを許した。

 しかし、ここから流通経済大柏は反撃を開始する。高い位置からプレスを掛け、相手のビルドアップを寸断。アバウトなロングボールを前に蹴らせると、そのこぼれ球を回収して素早く攻撃に繋げていく。とりわけ、目立ったのは2トップの清水蒼太朗(3年)と石川裕雅(3年)だ。豊富な運動量で相手DFを追い回し、攻撃時は献身的なスプリントで類まれな推進力を見せる。

 2トップのプレーに引き寄せられるように他の選手も良さを発揮。サイドハーフの小林恭太(3年)や西岡亮哉(3年)も献身的に相手の背後に何度も走り込む。さらにボランチの松本洋汰(3年)と渋谷諒太(3年)もゲームを組み立てながら、3列目から高い位置に顔を出してチャンスに絡む。しかし流通経済大柏は得点を奪えず、柏レイソルU-18が1点をリードし前半を折り返す。

 後半に入っても流通経済大柏の勢いは止まらない。立ち上がりから相手に圧力をかけ、アタッキングサードに何度もボールを運んでいく。すると、55分だ。渋谷の左CKがニアで弾かれると、そのセカンドボールに清水が反応。インターハイ後からトップチームでプレーする切込隊長が、頭で押し込んで試合を振り出しに戻した。

流通経済大柏 vs 柏レイソルU-18(写真=松尾祐希)

 以降も流通経済大柏は主導権を握る。U-20日本代表候補歴を持つCB田中隼人(3年)らが構える柏レイソルU-18の3バックに対し、積極的に仕掛けて翻弄していく。決定機を何度も作り出し、勝ち越しゴールを目指した。しかし、この日は決定力不足が顔を覗かせ、終盤に入っても得点を奪えない。最後までチャンスを生かせず、流通経済大柏は勝ち点1を得るに止まった。

 試合後、流通経済大柏の榎本雅大監督は引き分けに終わった一戦に悔しさを滲ませたが、間も無く始まる選手権予選に向けて収穫があったと話す。

 「インターハイ後に主力になった選手が自分を出し始めている。(U-18日本代表歴を持つ)欠場した川畑をどこで使うのか。2トップもかなり走ったし、川畑もうかうかしていられなくなるのはいいこと」。

 インターハイ後にメンバーに定着した清水だけではなく、左SBの新保柊祐(1年)や岡本亮太郎(2年)といった下級生もトップチームで良さを発揮できるようになってきた。新たな戦力の台頭を経て、流通経済大柏がどのようなチームに変貌を遂げていくのか注目だ。

(文・写真=松尾祐希)

▽高円宮杯 JFA U−18サッカープレミアリーグ2021 EAST
高円宮杯 JFA U−18サッカープレミアリーグ2021 EAST