札幌光星が苦しみながら代表権を奪取 不遇を乗り越え3年連続の北海道大会へ

歓喜の札幌光星イレブン(写真=有岡志信)

 札幌市白旗山競技場で行われたEブロック代表決定戦は、札幌光星が苦しみながら1-0で札幌厚別に辛勝した。前半の数々の好機も札幌厚別の好守に阻まれ、後半直後に挙げた1点を守り、3年連続の北海道大会に駒を進めた。

 試合開始直後から、札幌光星のFW宮下美勇(3年)が左サイドを攻め、積極的にボールをキープ。中央からFW古俣春輝(3年)も好機をうかがった。しかし、あと1歩、あと数メートルが届かない。攻撃の形はつくれるが、最後のシュートのところで決めきれないもどかしさが続いた。

 札幌厚別はシンプルに堅守を貫き、札幌光星の攻撃を食い止めていた。システムは4-3-3。最終ラインの4枚をフラットにしてラインをつくり、札幌光星の攻撃をブロック。これによって、オフサイドトラップも仕掛けやすく、札幌光星のDF裏への飛び出しをけん制していた。思い出すのは1998年のフランスワールドカップ後、日本代表監督に就任したフィリップ・トルシエ氏の守備陣形「フラット3」だ。当時、高度なライン統制技術が話題を呼んだ。

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札幌光星 vs 札幌厚別(写真=有岡志信)

 札幌光星はまさしく「フラット4」とも呼べる札幌厚別の最終ラインに苦しんだ。攻撃を仕掛けると、DFが厳しくチェックに入る。さらに、局面に応じてボランチの1枚も最終ラインに組み込まれ、5バック状態にもなる。ボールを保持した札幌光星の攻撃陣に対し、数的優位な状況でサイドまで追い込まれる。

 そんな状況を札幌光星が打破したのは後半1分だった。立ち上がりの時間帯に一瞬の隙をついた。札幌厚別のDF裏へ絶妙なタイミングで抜けたMF小原祥郁(2年)のこぼれ球に、FW古俣が反応した。ボールへの嗅覚は失っておらず、振り抜いた右足で待望の先制点が生まれた。試合終了までカウンターを受ける失点の危機もあったが、なんとか乗り切った。

 札幌光星は学期末テストと重なって、フィジカルコンディションを乱す選手も続出。さらに負傷者も相次ぐ中での代表決定戦だった。

(文・写真=有岡志信)